【3月6日 People’s Daily】世界初の中国核工業集団(CNNC)の福建(Fujian)福清(Fuqing)原子力発電所の5号機が1月30日、正式に商業運転を開始した。これにより、中国は第3世代原子力発電技術分野で世界のトップクラスとなった。中国は米国、フランス、ロシアなどに続き本格的に独自の第3世代原子力発電技術を習得した国になり、原子力発電の技術力、総合力ともに世界の前列に入った。

 20年近くの研究開発活動の中で、「華竜1号」研究開発チームは54件の研究開発プロジェクトを実施し、その独自の知的財産権は設計、燃料、設備、建設、運転、メンテナンスなどの分野を網羅していることが明らかになった。原子炉の炉心の設計、能動および非能動安全技術、燃料技術、計算分析ソフトなどの面で、コア技術を真に掌握することができた。

 独自の技術イノベーションはハイエンドの装備製造業のアップグレードを可能にした。「華竜1号」には、全国各地に分布している5300社以上の設備供給メーカーがかかわっている。各組立部品を生産するためには、計6万セット以上の設備が必要となり、すべての中核設備は国産を実現し、その国産率は88%以上に達する。

 それだけでなく、「華竜1号」モデルプロジェクトの実施を通じ、中国原子力発電建設チームはすでに独自の第3世代原子力発電所を建設するコア技術と建設経験を全面的に確立させた。現在、第3世代原子力発電設備の製造は年間8~10台の量産化を実現させ、発電所の建設能力も定着している。

「華竜1号」原子炉の商業運転の開始によって、どのような効果が得られるか。CNNC福建福清核電有限公司の趙皓(Zhao Hao)社長は2組のデータを示した。

 単基原子炉の設備容量は116.1万キロワットで、毎年100億キロワット時近くを送電している。標準的な石炭の消費量は、年間312万トンで、二酸化炭素の排出量816万トンの減少、7000万本以上の植林に相当する。中国のエネルギー構造の改善、「炭素排出ピークアウト」「カーボンニュートラル(炭素中立)」戦略目標の実現にとって深い意義がある。

 2015年5月7日の正式な福清での着工から、2021年1月30日の商業運転の開始まで、国外の同種プロジェクトに比べ、「華竜1号」原子炉は20%~30%のコストを減少させた。「『華竜1号』は、現在の原子力発電市場上の受容度が最も高い第3代機種の一つになった」と、趙社長は記者に述べた。彼によると、パキスタンのカラチで、「華竜1号」原子炉2台の建設が順調に進められている。チリ、イギリスなども続々とプロジェクト導入の協力への意向を示している。

 紹介によると、現在の市場状況からみると、「華竜1号」原子炉の全ライフサイクルにおける国内生産額は2000億元(約3兆2000億円)を超え、15万人以上の雇用機会を創出する見込みだ。また、「華竜1号」原子炉1台を輸出すると、中国に関連する機電製品と材料200億元(約3200億円)近くの輸出をけん引することができる。

「高速鉄道と同じく、『華竜1号』は中国の装備製造における『対外経済進出戦略』のすばらしい名刺だ」と、CNNC福建福清核電有限公司の徐利根(Xu Ligen)会長は言う。(c)People’s Daily/AFPBB News