【3月8日 AFP】証券取引所の立会場には長年、女性のピンナップ写真とわいせつな冗談が付き物だったが、今日の金融業界は徐々に女性に開かれつつある。その表れの一つが、今月1日、米ウォール街(Wall Street)を代表する金融機関、シティグループ(Citigroup)の最高経営責任者(CEO)にジェーン・フレイザー(Jane Fraser)氏が就任したことだ。

 職場での女性の昇進に取り組む非営利団体「カタリスト(Catalyst)」の取締役であるロレイン・ハリトン(Lorraine Hariton)氏は、フレイザー氏の昇進は「極めて重要な節目だ」とする一方で、こう語る。「でも、道のりはまだ長い」

 コンサルティング・グループのデロイト(Deloitte)によると、米金融業界の被雇用者のうち女性が占める割合は2019年では50%以上だったが、最高経営者を除く管理職では22%にとどまった。現在の動向に基づく予測では、この割合は2030年までで31%になるとされている。金銭面で見ると、2020年の女性の金融アナリストの収入は、男性の同業者に比べると平均して17%少なかった。

 AFPの取材に応じた複数の女性は、女性が昇進するには、男性以上に必死で働かなければならず、さらに、非の打ちどころがないと思ってもらう必要があると話した。

 投資銀行家やトレーダーなどの極めて高収入の専門職は、相変わらず白人男性の牙城だ。そのため、性差別発言が飛び出すこともいまだにある。だが、絶対的と思われてきたものにも変化が起き始めている。

 かつては、多様な人材を採用しなければならないという漠然としたお題目が唱えられるだけだったが、そこから少しずつ具体的な取り組みも生まれてきた。

 米金融最大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)には、以前から非公式の女性ネットワークが存在している。

 社内上層部の女性たちは2013年、出張で世界各地を訪れた際に女性のみの会議を招集して従業員の意見を聞いた。