【3月5日 AFP】インドで先月、妊娠中の牛の胃からプラスチックやくぎなどのごみ計71キロが摘出され、後にこの母牛と胎児は死んだ。同国の汚染と、飼い主のいない「野良牛」という2つの問題が改めて浮き彫りになった。

 ヒンズー教徒が多数を占める同国では、牛は聖なる動物とあがめられる。都市部に合わせて500万頭の野良牛がいると推算されているが、その多くが路上に散乱する大量のプラスチックごみを食べている。

 動物愛護団体「ピープル・フォー・アニマルズ・トラスト・ファリダバード(People For Animals Trust Faridabad)」は先月下旬、交通事故に遭った牛を救出。獣医師はすぐに、牛が妊娠しており、苦しんでいる様子に気付いた。

 同団体の代表は、先月21日に4時間に及ぶ手術が行われ、この牛の胃からプラスチックごみやくぎ、ビー玉などが見つかったと明かし、「13年間の経験の中で、1頭の牛から摘出されたごみの量としては最多だ」と述べた。

 獣医師らは早期分娩(ぶんべん)を試みたが、胎児は母牛の体内に十分な成長スペースがなかったために死に、母牛もその3日後に死んだ。

 プラスチックごみを食べて死んだ牛の数の全国統計はない。ただ英字紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)は2017年、北部の都市ラクノー(Lucknow)だけでも、年に約1000頭が死んでいると報じている。(c)AFP/Maude Brulard with Glenda Kwek in New Delhi