【3月5日 People’s Daily】中国福建省(Fujian)厦門市(Xiamen)の市民、頼婷思(Lai Tingsi)さんは湖里区(Huli)雲頂北路付近に住んでいる。勤務地は自宅から南に3キロの蔡塘(Caitang)。遠くはないが、近くもない。頼さんはどのように通勤しようか悩んだことがある。

「歩くとすれば、往復で6キロ。時間がかなりかかる。車だと、朝夕は渋滞し、3キロの距離を走るのに30分以上かかる。会社近くの駐車料金も安くはない」と頼さん。バスを使うことが多かったが、出退勤の時間は車内が混雑するし、バスの到着時刻もはっきりしない。

 頼さんは昨年、新たな行き方を見つけた。高架自転車道の利用だ。自宅近くの厦門市行政サービスセンター出入り口で乗り、蔡塘出入り口で降りる。距離は2.7キロ。「一度試してみるか、という気持ちで利用したところ、便利で、時間もかからなかった」と頼さん。高架自動車道には信号もないし、自動車にわずらわされることもない。自宅から会社までわずか十数分だった。

 頼さんが利用した高架自転車道は、中国で初の、そして世界最長の「空中自転車道」だ。厦門市政集団公司に属する市政開発公司の技術責任者、肖志標(Xiao Zhibiao)氏によれば、全長は約7.6キロ。出入り口は11か所あり、バス高速輸送システム(BRT)に乗り継げるほか、普通のバスの停留所11か所、地下鉄駅2カ所とも接続している。

 頼さんは1年余り利用してみて大きな収穫があったと思っている。「最初は通勤のためだった。のちに、いい運動になることが分かった。一石二鳥だ」と頼さん。自転車に乗るのがますます好きになり、通勤のほか、暇ができると、自転車で市内各地を遊覧しているという。

 肖氏は「自転車道の建設は、外出にあたって二酸化炭素の排出を抑えるという厦門市民のニーズに応えるためだ」と語る。自転車道も含め、環境に優しい厦門の交通システムは、以前は全くなかったが、その後、あるようになり、そして今度はそれを改善してゆく。関係部門は理念の革新、技術の革新を通じて交通システムをさらに改善し、低炭素型の外出のためにもっとよい条件を準備する。(c)People’s Daily/AFPBB News