【3月4日 AFP】インド最高裁長官が、少女をレイプした罪に問われた被告に対し、収監を回避するには被害者と結婚すればよいとする発言をしていたことが明らかになり、同長官の辞任を求める声が上がっている。

 アルビン・ボブデ(Arvind Bobde)長官は、政府機関勤務の技師である被告に対する審理で、「(被害少女と)結婚したいなら、われわれは力になれる。そうでなければ失職し、収監される」と述べた。

 この発言は怒りを招き、女性人権活動家らは長官の辞任を要求する書簡を公開。書簡には5200人以上が署名した。

 この公開書簡によると、被告は少女の後をつけ、縛り上げて猿ぐつわをかませた上で繰り返しレイプに及んだとされる。その上で少女に対し、ガソリンをかけて火を付ける、兄弟の殺害を依頼するなどと脅したという。

 同書簡でボブデ氏は、「このレイプ犯に被害者との結婚を提案するとは、インド最高裁長官ともあろう人物が、被害者を自殺未遂に追い込んだ犯人から一生レイプを受け続ける人生を、被害者に強要しようとしたことになる」と非難を受けている。

 インドでは2012年、女子学生がバス車内で集団レイプを受けて殺害される事件が発生し、抗議活動が全国に広がった。以来、同国の凄惨(せいさん)な性暴力に対し、国際社会から厳しい目が向けられている。

 同国では被害者が、和解策と称して加害者との結婚を勧められるなど、警察や裁判所で性差別的な扱いを受けることも少なくない。(c)AFP