【3月14日 AFP】仮にあなたがウインドサーフィンが大好きで、自分がいる国の海が1年のうち何か月間も凍るとしたら、どうするだろうか。

 フィンランドの人々が考え出した答えは、ウインドサーフィン用ボードにスケートブレードを取り付け、氷上を滑走することだった。最高時速は100キロに達する。急成長中のこのスポーツが楽しめるのは、世界中ごくわずかな場所しかない。

 ブレード3枚とウインドサーフィンの帆を取り付けた自家製ボードを指さしながら、フョードル・グルビッツ(Feodor Gurvits)さんは「幸せマシンと呼んでいます」と語った。「やってみると、みんな思わず笑ってしまう。すごく楽しいんです」

 グルビッツさんとアイスサーファー仲間が、ヘルシンキのヘルネサーリ(Hernesaari)沖のバルト海(Baltic Sea)の氷上を縦横に滑り始めた。急旋回中にブレードが外れたときに備え、ヘルメットと(ホッケーのゴールキーパーが着けるような)パッドを装備している。

 そのうちの一人、エサ・ハルユラ(Esa Harjula)さんが説明した。「ブーム(帆を張る支柱)をしっかり握っておかないと、手にけがをしてしまう。それ以外は、夏(に海上でウインドサーフィンをするの)に比べて氷の上を滑る方がずっと簡単です」

 グルビッツさんによると、氷の厚さは現在30センチあり、小型トラックを走らせても平気だが、日差しが暖かくなって気温が5度にもなれば、浅瀬の海岸線沿いの氷は解け始める。

 アイスサーファーのメテ・シラガン(Mete Ciragan)さんは、風速8メートルの弱風の中、秒速19.8メートルで滑走し、この日の最高記録を達成した。「すごく気持ちが良くて、時々息をするのも忘れてしまいますよ」と話す。「でも、でこぼこした所にぶつかって転倒しないように、(凍った)海面に集中しなければなりません」