■「痛みが和らいだ」

 ベンガジの流行地区の真ん中にあるオパールが提供する塩セラピーは、ぜんそくなど呼吸器系の症状や湿疹・乾癬(かんせん)を含む皮膚疾患の治療に有望だという。

 この都市は内戦中、東部勢力のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)司令官の牙城だったため、爆発の跡や破壊されたビルが目立つ。

 50代の銀行家ムスタファ・アーメッド・アクリフ(Mustafa Ahmed Akhlif)さんは、副鼻腔(びくう)炎に10年ほど悩まされてきた。「たくさんの鎮痛剤を服用し、痛みを和らげる伝統薬も試した」。ところが、オパールに4回通っただけで「8割」の症状が改善したと言う。

 ブガイギスさんは他のアラブ諸国を旅行中に、塩を使う治療法を知ったという。その後、隣国チュニジアで代替医療を学んだ。

 慢性病に対する塩セラピーの効能を確信したブガイギスさんは、帰国すると知人のザイナブ・アル・ワルファリ(Zainab al-Werfalli)さんとともに新ビジネスを立ち上げた。

■平穏な日常

 オパールの開業はちょうど昨年10月、東部勢力と首都トリポリの国民統一政府の間で停戦合意が結ばれた時期と重なった。新たな暫定統治評議会が2月に発足し、12月の国政選挙に向けて体制を整えている。長年不安定な状態にあるリビアでは、ビジネスの見通しはつけにくい。

 ワルファリさんは、塩セラピーの考え方をまずベンガジ市内の医療関係者に広めるところから始めるつもりだ。「そうすれば一般の人々にもできる限り行き渡る」と考えている。オパールでは、あらゆる年齢の患者を診る用意ができている。

 カダフィ大佐殺害から10年、繰り返された戦闘を経て、リビアの人々は平穏な日常を取り戻そうとしている。(c)AFP