【3月3日 AFP】昨年発覚した「バルサゲート(Barcagate)」の捜査の一環で逮捕された、スペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)の前会長ジョゼップ・マリア・バルトメウ(Josep Maria Bartomeu)容疑者が2日、条件付きで釈放された。

 裁判所の発表によると、留置場で一晩を過ごしたバルトメウ容疑者とアドバイザーのジャウメ・マスフェレール(Jaume Masferrer)容疑者は、予審判事の尋問に対して黙秘権を行使し、その後に釈放されたという。

 今回の逮捕は、バルトメウ容疑者らのプロモーション企業に対する不正な支払いに関するもので、容疑者はこの会社を使い、クラブの選手や元選手に対するネガティブキャンペーンを展開していたとされる。カタルーニャ(Catalonia)自治州警察は1日に本拠地カンプ・ノウ(Camp Nou)のクラブ事務所の家宅捜索を行い、バルトメウ容疑者ら関係者4人を逮捕した。

 事件の発端は2020年2月、クラブの粉飾決算を地元ラジオ局が暴露したことで、バルトメウ容疑者はプロモーション企業I3ベンチャーズ(I3 Ventures)に対する支払いを実際よりも少なく、分割して報告することで、クラブ内部の財務管理の目をごまかしたとされている。

 またこのI3ベンチャーズは、SNSを使ってリオネル・メッシ(Lionel Messi)やジョゼップ・グアルディオラ(Josep Guardiola)氏、シャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)氏といった現所属選手やOBを批判し、クラブの印象を操作していたといわれている。

 バルトメウ容疑者らには不正会計と汚職の疑いがかけられている。同容疑者は以前から、I3ベンチャーズを雇ったのはSNSの投稿を監視するためだという主張を続けている。

 バルセロナでは7日にバルトメウ容疑者の後任を決める次期会長選が行われる予定で、クラブ会員は元会長のジョアン・ラポルタ(Joan Laporta)氏、トニ・フレイシャ(Toni Freixa)氏、ビクトル・フォント(Victor Font)氏の3人から次の会長を選ぶ。

 候補の一人で、会長選で先頭を走っているとみられるラポルタ氏は、今回の逮捕について「クラブの評価を傷つけるものだ」と話している。

 ロナルド・クーマン(Ronald Koeman)監督も、国内リーグを26回制しているクラブのイメージにとって「良くない」と認め、「今後の展開を待たなくてはならない。残念だ。私にとってバルトメウは常に飛び抜けた人物だった」とコメントした。(c)AFP