時計ジャーナリストが選ぶ"これぞ"の1本! コロナ禍の影響で時計フェアは軒並み中止になったものの、魅力的な新作が数多く発表された2020年。その中から時計ジャーナリストが選んだ"本気で欲しい!"と感じた傑作モデルとは? 

HUBLOT(ウブロ)/ビッグ・バン インテグラル チタニウム
ケースやブレスレットはチタン製。加工が難しい素材に対して丁寧にサテン&ポリッシュ仕上げを施し、高級感 も引き出した。これまではケースと異なる素材を使っていたミドルケースも、チタンにして統合感を演出。自動巻き、ケース直径42㎜。10気圧防水。税別222万円。

搭載している自社製ムーブメントのウニコCal.HUB1280は、パワーリザーブが約72時間。メカニカルな魅力だけでなく、実用性も高い。

時計としての着実な進化を示す15年目のビッグ・バン

2005年にデビューした「ビッグ・バン」が、その後の時計業界に多大な影響を与えたことは、誰もが認めるところだろう。異素材ミックスやオールブラック、コラボレーションなどの戦略やスタイルは、全てがここから始まった。ビッグ・バンを追いかけていれば、今後の時計業界を占うことができる……。それくらい刺激的な存在だった。

そんなビッグ・バンが、2020年に15周年という節目を迎えた。これまでの流れであれば、またも業界を驚かす新機軸を打ち出してくるのがセオリー。しかし登場したのは、ケースとブレスレット、そして素材感などが美しく統合(インテグレート)したモデルだった。地味な進化にも見えるが、そのクオリティは驚くべきレベルにある。ケースの立体感をそのままブレスレットの駒にも取り入れ、斜面の磨きのラインも綺麗に合わせている。プッシュボタンも角形になり、ケースを42㎜にしたことで、より凝縮感のある時計に仕上がっている。

ウブロには華やかなイメージがあるが、その実、時計作りに対する姿勢は実直で真面目である。そういった裏の顔が見え隠れする16年目のビッグ・バンは、ますます魅力的に進化するウブロの真の実力が、そこかしこに見える時計になっている。

篠田哲生(しのだ・てつお)/雑誌、新聞、ウェブなどで幅広く時計企画を担当。高級時計からカジュアルウォッチまでが守備範囲。12月16日に、著書「教養としての腕時計選び」(光文社新書)が発売される。