【3月2日 Xinhua News】中国の四川省(Sichuan)文物考古研究院は2月26日、同省達州市(Dazhou)の羅家壩(らかは)遺跡で東周時代(紀元前770年~同256年)の墓群が新たに見つかったと発表した。神秘に包まれた古代巴国の研究を進める上で貴重な実物資料になるという。今回の発見が2020年度「全国十大考古新発見」の予備選考に選ばれたことも明らかにした。

 発掘チームを率いる陳衛東(Chen Weidong)氏によると、同研究院は19~20年、宣漢県(Xuanhan)文物管理所と共同で同遺跡の第5次、第6次発掘調査を実施。1300平方メートルを発掘し、墓葬75基を整理した。墓はいずれも細長い長方形をした竪穴式土坑墓で、一部で木棺や舟棺の痕跡が残っていたほか、動物や人の頭を殉葬したとみられる墓も少数見つかった。副葬品は銅器や陶器、玉器、石器など千点余りが出土し、主に被葬者の体や足元に置かれていた。

 うちM83と名付けられた墓は、今回の発掘調査で最も高い格式を持つ貴族の男女合葬墓で、巴蜀文化や楚文化の典型様式を持つ青銅器が大量に出土した。男性被葬者の副葬品には、亀甲や鹿の角など巫術(ふじゅつ)に関する器物が多く含まれていた。

 今回の発掘で新たに出土した印章や武器からは「巴蜀符号」と呼ばれる記号や図が数多く見つかった。時代は戦国初期から前漢まで続いており、四川地区で巴蜀符号の出土が最も多く、変遷が最も明瞭な形で残る墓地となった。一部の墓からは巴蜀印章と漢印が同時に出土しており、巴蜀符号の研究を深める上で貴重な実物資料になる。

 陳氏は、今回の発掘が四川地区で近年実施された先秦時代の考古発掘の中でも重要な発見の一つになると指摘。戦国初期から秦漢時代にかけての四川省東部における考古学的文化の様相と発展序列が一つにまとまっているほか、墓の規模や副葬品の量、等級は巴文化の研究で重要な地位を占めると説明した。東周時代の巴国の歴史と文化の研究を進める上で新たな実物資料になるという。

 羅家壩遺跡は達州市宣漢県普光鎮進化村にあり、分布面積は約120万平方メートルに及ぶ。四川省東部で保存状態が最も良く、墓地の規模が最も大きい巴文化の遺跡であり、2001年に第5次全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定された。(c)Xinhua News/AFPBB News