【3月1日 AFP】1日は英ウェールズの守護聖人をたたえる記念日「聖デービッド・デー(St David's Day)」だが、その祝祭には欠かせない「国花」のリーキ(西洋ネギ)が今年は不足しているという。

 聖デービッド・デーはあらゆる「ウェールズ的なもの」を祝う日で、例年、伝統的なウェールズ料理の食材として大量のリーキが消費される。だが、英国内のリーキ栽培農家でつくる協同組合によると、今年は寒波の影響などで収穫量が少ないという。

 さらに、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)により自宅で料理をする機会が増えたウェールズ人が、リーキとジャガイモのスープやリーキのパイといった「郷土の味」に癒やしを見いだし、消費量が急増したことも不足の理由となっている。

 リーキ農家組合のスチュワート・アスピノール(Stewart Aspinall)会長によると、リーキの売り上げは15%も増加しており、供給不足を「補填(ほてん)」して聖デービッド・デーの需要を賄うためオランダなどから輸入せざるを得なくなったという。

「リーキは店頭に並ぶだろうが、英国産は見つからないかもしれない」とアスピノール氏は語った。

 リーキがウェールズの象徴となった由来は、グレートブリテン(Great Britain)島がローマ帝国に侵略される数世紀前、古代ケルトのドルイド(祭司)たちにまでさかのぼるとされる。

 ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の戯曲「ヘンリー5世(Henry V)」には、帽子にリーキを付けたウェールズの騎士フルエリン(Fluellen)に向かって、ヘンリー5世が「知ってのとおり、私はウェールズ人だから」リーキを身に着けようと語る場面がある。(c)AFP