■「ニューヨークの文化の象徴」

 コロナ禍以前に乗客数は50%減っていたが、コロナ禍で状況はさらに悪化し、90%近く落ち込んでいるとニューヨークタクシー労働者同盟(New York Taxi Workers Alliance)の代表、バイラビ・デサイ(Bhairavi Desai)氏はAFPに語った。

「市内で最も人けが消えたのは、運転手の稼ぎ場所であるマンハッタン(Manhattan)の各地区や各空港です」

 同盟によると、現在、認可されたイエローキャブ約1万3000台のうち常時稼働しているのは5000台前後。残りの約7000台は車庫から出ることもない。

 ハイチ出身の運転手ウイリアム・ピエール(William Pierre)さんは、もはや、もうけにならないと言う。一日の売り上げはせいぜい100~150ドル(約1万700〜1万6000円)。それを、タクシーをリースしている会社と折半する。それでも、「家にじっとしていられない。家族を養うために外に出なければ」と語る。

 タクシー労働者同盟のデサイ氏は、市が運転手の債務を帳消しにしなければ、イエローキャブは「徐々に減っていく」と主張する。2月上旬、同団体の組合員数十人がブルックリン橋(Brooklyn Bridge)を一時的に封鎖して抗議活動を行った。

 ニューヨークのビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長(民主党)は、連邦政府が新型コロナウイルスで経済的に疲弊した同市を支援してくれるのなら、「困窮しているタクシー運転手を援助する」と約束している。

「あの黄色を見ると、ニューヨークに来たんだなと実感するでしょう」とデサイ氏。イエローキャブは「文化の象徴なんです」と話した。「24時間休むことなく、この素晴らしい街の経済と社会と文化を支えているんです」

 映像は2月4、10日撮影。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE