【2月28日 AFP】レバノン南部のウミガメの産卵地になっている砂浜で27日、約1週間前に発生した嵐を受けて漂着したタールボール(油塊)を除去する作業が行われた。この嵐で、隣国イスラエルの砂浜には船から漏出したとされる大量のタールが流れ着き、数日後にはレバノン南部にも広がっていた。

 イスラエルとの国境沿いにあるナクラ(Naqura)から、南部ティール(Tyre)に至るまで、レバノンの砂浜はタールの塊で汚染された。この海岸線にはレバノンで最もよく残っている砂浜が連なっており、これから産卵シーズンを迎えるウミガメの産卵地もある。

 AFP記者によると、マスクを着用したボランティアと民間防衛のメンバーらは27日朝、ティール海岸自然保護区(Tyre Coast Nature Reserve)の砂浜から、タールの塊の除去作業を行った。

 レバノン国立科学研究評議会(National Council for Scientific Research)トップのムーイン・ハムゼ(Mouin Hamze)氏によると、「ティールの保護区には約2トンのタールが流れ着いており、その90%はすでに砂の中に隠れている」という。同氏は、清掃作業は最大であと2週間かかる可能性があるとAFPに語った。

 同保護区のウェブサイトによると、砂浜3.8平方キロとそれに隣接する海域が保護区域になっており、絶滅が危惧されるアカウミガメとアオウミガメやカイロトゲマウスが生息している。

 ハムゼ氏は先に、タールは今後3か月にわたってレバノンの海岸に漂着し続ける可能性があるとの見方を示していた。当該地域のドローン調査はまだ完了していないが、同氏によると漂着したタールは同国南部に多く、より北に位置する首都ベイルートにも到達し始めているという。(c)AFP