【2月28日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)で一大センセーションを巻き起こし、現在は下部リーグのGリーグでプレーするジェレミー・リン(Jeremy Lin)が、試合中に「コロナウイルス」と呼ばれたことについて、「名前も出さないし、誰かを辱めることもない」と話した。

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 事の発端は、リンが25日のフェイスブック(Facebook)の投稿で、アジア系米国人に対する差別について話し、「NBAで9年過ごした経験も、コートで『コロナウイルス』と呼ばれることから僕を守ってはくれなかった」と明かしたことで、その後リーグはこの件に関する調査を始めたと報じられている。

 しかしリンは27日、ツイッター(Twitter)で「残念に思う人もいると思うが、名前も出さないし、誰かを辱めることもない。この状況で誰かを傷つけても何も良いことはないし、僕らのコミュニティーが安全になるわけでも、根深い人種差別の問題が解決するわけでもない」とコメントした。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が「中国ウイルス」と繰り返した新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)下で、米国でのアジア系コミュニティーに対する差別はいっそうひどくなっている。

 リンは2010-11シーズン、中国か台湾にルーツを持つ米国人では初のNBA選手として、ゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)でデビューを飾り、2012年のニューヨーク・ニックス(New York Knicks)での活躍で「リンサニティー(Linsanity)」と呼ばれる熱狂的な現象をつくり出した。

 その後はチームを転々とし、2019年にはトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)でファイナルを制覇したチームの一員となったが、中国でのプレーを経て、現在はウォリアーズ傘下のサンタクルーズ・ウォリアーズ(Santa Cruz Warriors)でプレーしている。(c)AFP