【2月28日 AFP】米国サッカー連盟(USSF)は27日、年次総会を行い、物議を醸していた国歌演奏中の膝つき禁止規則の撤廃を正式に決めた。

 USSFは2020年の時点で理事会が規則の廃止を決めており、正式決定に必要だった今回の総会の投票でも、会員全体の71パーセントから賛成票が集まった。

 理事会が撤廃を決めた昨年、USSFは、規則は間違いであり、黒人を含めたマイノリティーの懸念に連盟が対処できなかったことを示すものだと理由を説明していた。

 米国歌を「尊重するため起立する」ことを求める規則は、2017年に導入された。女子代表の主力ミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)が、当時米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)でプレーしていたコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の膝つきに同調し、2016年の代表戦で膝をついたことがきっかけだった。

 しかし昨年、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で武器を持たない黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官による拘束下で死亡する事件が起こり、全米で抗議活動が巻き起こると、連盟に対しても規則の見直しを迫る声が強まっていた。

 武器を持たない黒人が警察と衝突して死亡する事件が続く中、事件に注目してもらいたいと2016年にキャパニックが始めた膝つきは、フロイドさんの事件以降に活発化した「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動の象徴となり、世界中で反人種差別のメッセージを示す行動として採用されている。(c)AFP