■完全に退役した飛行機はパーツの90%以上を再利用

 ターマック・アエロセーブ社は、航空機大手エアバス(Airbus)、エンジンメーカー・サフラン(Safran)、廃棄物管理企業スエズ(Suez)の仏3社が2007年に設立し、当初は1970年代に製造された初代エアバス機をリサイクルしていた。その後、顧客の要請で機体の保管と整備も行うようになった。

 コロナ禍で保管需要が急増、同社全体の収益は昨年、過去最高となる前期比20%増を達成したが、最も利益を上げている整備部門に関しては40%低下したとルセール氏は述べた。航空各社は、コストのかかる徹底的な大規模整備を控えている。

 とはいえ、どんな運命の飛行機でも細部にわたる整備は大事だ。完全に退役する場合は、パーツの90%以上が再利用され、世界最大の旅客機、エアバスA380型機を除けば、大半の機種は6~7週間で解体される。

「よくあるのは、米国の砂漠に(使われなくなった)飛行機が積み上げられて放置されているという墓地のようなイメージだが」と、飛行機の解体責任者を務めるアルトゥール・ロンドー(Arthur Rondeau)氏は言う。「(だが)ここでは、飛行機の端から端までくまなくチェックして、有用なものは全部回収する」

 整備工のテディ・サベス(Teddy Saves)氏(23)は、座席がほぼ取り外された機体内で、「忘れてしまいがちになるが、ここにあるのは世界を飛び回ってきた飛行機」だと話し、こう続けた。「(役目を終えた飛行機は)ここで素晴らしい最後を迎えていると思いたい」 (c)AFP/Marisol RIFAI