【2月25日 AFP】東京五輪の主催者は25日、来月に開始される聖火リレーにおける新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを発表した。沿道での観覧は認められるが、大声を出しての応援は固く禁じられている。

 聖火リレーは昨年、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって東京五輪が延期になったことに伴い、スタート予定日の数日前に先送りとなっていた。

 今夏の五輪開催をめぐっては引き続き安全面が懸念されているものの、主催者は大会の実施は可能であり、聖火リレーは予定通り3月25日にスタートすると述べている。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)の橋本聖子(Seiko Hashimoto)会長は、報道陣に対し「各都道府県において感染状況等が異なり、それぞれの事情を抱えられている中で、きめ細かな対応が重要だと考えております」と述べた。

「各都道府県、市区町村、パートナーの皆さま方のご理解とご納得をいただきながら、五輪聖火リレーのコンセプトである『希望の道をつなごう』に沿って日本全国に希望をつなぐ聖火リレーを実現したい」

 また橋本会長はその後、大会の観客数の上限について、聖火リレーのスタート時期の前後に判断したいとの考えを示した。

 2011年に発生した東日本大震災からの「復興五輪」と銘打った東京五輪の役割を強調すべく、聖火リレーは福島県の象徴的な場所からスタートするが、今回は通常よりもずっと控えめなイベントになるとみられている。

 沿道での観覧は認められるものの、観客はマスクの着用や3密の回避を求められ、住まいから近い場所でしかリレーを見ることができない。

 ガイドラインには「大声を出さずに、拍手による応援や、配布グッズ等を活用した応援をお願いします」とあり、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の維持も命じられた。「過度な密集が生じた場合は、リレーを中断する場合があります」とも記された。

 また、一部区間やセレブレーション会場への入場は人数制限のため事前予約制となり、著名人ランナーを目的とした密集を回避するため、どのランナーがどの区間を走るかは直前まで公表されないことになっている。

 リレーに関わるランナーやスタッフは、参加までの2週間のあいだ健康状態を詳細に記録し続ける必要があり、会食や密集する場所への外出等の危険を伴う行動をしてはいけない。

 一部の都府県では現在、緊急事態宣言が発令されている。3月7日の期限を待たずして解除される可能性のある地域もあるが、ガイドラインは、聖火リレーが予定されている地域で緊急事態宣言等が再発令されれば、公道での聖火リレーを見合わせる可能性があると警告している。(c)AFP/Andrew MCKIRDY