【2月25日 AFP】エクアドルの複数の刑務所で23日に同時発生した犯罪組織間の抗争による暴動で、矯正当局は24日、死者が合わせて79人となったと発表した。暴動はすでに鎮圧されたとしている。

 暴動は4か所の刑務所で数時間続き、受刑者らが首を切られたり火を付けられたりして死亡した。刑務所内にはびこる犯罪組織の影響力を浮き彫りにした今回の暴動について、エクアドルの人権オンブズマンは「前例のない大虐殺」と批判。国民の間に衝撃が広がり、経緯の解明を求める声が上がっている。

 国連(UN)は「迅速で公正な調査」と「憲法と国際的な人権の取り決めにのっとった責任ある者らへの制裁と危機管理」を求めた。

 暴動が起きたのは西部の港湾都市グアヤキル(Guayaquil)にある二つの刑務所と南部クエンカ(Cuenca)の刑務所、中部ラタクンガ(Latacunga)にある刑務所の計4か所で、合計収容者数は国内の全受刑者数の3分の2を超える。

 暴動は組織的に計画されたものとみられ、鎮圧には軍も出動した。矯正当局によれば、刑務官や警官に死者はいない。

 エクアドル政府は新型コロナウイルスの流行を受け、軽い罪の受刑者を減刑して収容者数を減らす取り組みを進め、定員を超える収容者の割合は42%から30%に改善した。しかし、今も全国の受刑者数は約3万8000人に上り、収容定員約2万9000人を大幅に超えている。刑務官は約1500人で、矯正当局が暴動に即座に対応するため必要だとする約2500人を大きく下回っている。

 映像は暴動が起きた刑務所のうちの一つ、グアヤキルの刑務所前で詳しい情報を待つ親族ら。24日撮影。(c)AFP/Rodrigo Matute