【2月24日 東方新報】中国の興行データを集計する猫眼専業版によると、春節(旧正月、Lunar New Year)連休中(今年は2月11~17日)の映画の興行収入が78億4500万元(約1278億3000万円)に達し、春節期間の最高収入を記録した。東京を舞台にした『唐人街探案3(邦題:僕はチャイナタウンの名探偵3)』が大ヒットするなど、春節に合わせた上映作品の評価が高いことと、コロナ禍で帰省や旅行を自粛する「その場で年越し」の影響もあったようだ。

 興業収入トップ3は『唐人街探案3』の35億6500万元(約580億9000万円)、人気女性コメディアンの賈玲(Jia Ling)さんが初めてメガホンを取った『你好、李煥英(英題:Hi, Mom)』の27億3000万元(約444億8400万円)、『刺殺小説家(英題:Assassin in Red)』の5億4000万元(約87億9900万円)。

『唐人街探案3』は、警察官になりそこねた中国人探偵が世界各地で活躍するコメディーの第3弾で、妻夫木聡(Satoshi Tsumabuki)さんや長澤まさみ(Masami Nagasawa)さん、染谷将太(Shota Sometani)さん、鈴木保奈美(Honami Suzuki)さん、浅野忠信(Tadanobu Asano)さん、三浦友和(Tomokazu Miura)さんら日本の俳優も多数出演している。栃木県足利市に渋谷のスクランブル交差点をセットで再現し、撮影したことも話題になった。今後、2017年に56億8000万元(約925億5300万円)を稼いだアクション映画『戦狼2(英題:Wolf Warrior2)』を抜いて歴代興行収入でトップに立つことも予想されている。

 中国では春節前後の期間は映画業界最大の稼ぎ時だ。年間興行収入の4分の1を占めるため、春節に合わせて大作・力作が投入される。近年の春節では毎年のように、予想以上のヒットを遂げるダークホース作品が現れる。今年は『你好、李煥英』がそれに当たる。監督と主役を務める賈玲さんが今は亡き母親をモデルとし、1980年代にタイムスリップした娘が母親の恋を応援するストーリー。笑いと涙をたっぷり描いた温かみのある世界が、家族だんらんを楽しむ春節の雰囲気にマッチした。

 中国映画協会の尹鴻(Yin Hong)副会長は春節映画の盛り上がりについて「第一に、家族や友人で一緒に映画館を訪れるグループ鑑賞が増えたこと。第二に、帰省や旅行を自粛した人が映画を観賞していること。第三に今年は作品の質が特に高いこと。第四にチケット代が高くなったこと」と説明している。(c)東方新報/AFPBB News