【2月24日 AFP】イランは23日、国際原子力機関(IAEA)による国内施設査察の一部制限を開始したと表明した。米国がドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下で科した制裁の解除を拒んでいることを受けた措置。

 2015年のイランとの核合意に参加した英仏独は査察制限について「非常に遺憾」と表明。「この決定の危険な性質を団結して強調する」とし、査察制限はイランの施設と保障措置情報へのIAEAのアクセスを「大幅に制限する」ものだと指摘した。

 IAEAの監視・検証態勢の変更は、2018年のトランプ政権の核合意離脱に対する報復措置のうちの一つとして、イランの保守派議会が昨年決定していた。

 イランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相は国営イラン通信(IRNA)に対し、IAEAの査察制限に関する新法が「けさ、施行された」と述べた。IAEAが合意順守の状況を検証するためイランの核施設に設置した監視装置の記録提出は今後、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が制裁を解除するまで保留される。

 IAEAのラファエル・グロッシ(Rafael Grossi)事務局長は、IAEAが21日にイランの首都テヘランで同国と交わした暫定合意により、2015年核合意の修復に向けた「政治的協議」が行われる間にIAEAが「何も見えない状態で進む」ことを回避できると説明している。だが米国は、土壇場で合意に至ったグロッシ氏の外交手腕を称賛する一方で、イラン政府に対し、協議進行中も核合意で定められた「検証などの核不拡散義務を完全に果たす」よう求めている。

 イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は22日、イランは必要ならばウラン濃縮度を60%に引き上げることも可能だと表明。これは核合意で定められた上限の3.67%を大幅に上回るが、原子爆弾の製造に必要な90%には届かない。(c)AFP