【2月25日 AFP】ケニア中部で夜明け頃、1機のヘリコプターが飛び立った。バッタの体が太陽の光で温まって活動を開始し、作物をどん欲に食べつくす前に、急いでねぐらを見つけ出すという任務のために。

 操縦士のキーラン・アレン(Kieran Allen)氏は、シマウマの群れが埋め尽くす平野や、青々としたトウモロコシ畑、木々に覆われた雄大な谷、北部まで広がる乾燥地帯などに目を凝らし、バッタの大群を探し始める。

 地上の対バッタ作戦指令室から連絡を受けると、ヘリコプターは突然、旋回した。ケニア山(Mount Kenya)の麓の集落に、バッタの群れがいるとの通報があったのだ。

 アレン氏はヘッドホンを使って「その辺りの木々にピンク色の塊がみえる」と伝えると、約30ヘクタールにおよぶサバクトビバッタの群れを指さした。

 赤みがかったピンク色をした、最も食欲旺盛な成長期のサバクトビバッタが、松の林の頭をピンク色に染めている。

 アレン氏は近くの農場まで十分な距離があると判断すると、航空機の出動を要請した。数分後到着したプロペラ機が、バッタの大群に殺虫剤を散布した。

 ソマリアやエチオピアからケニアに、新たなバッタの大群が押し寄せた。アレン氏は先月だけでも、バッタ掃討作戦のため約2万5000キロを飛行した。これは、地球を半周以上したのと同じだ。

 サバクトビバッタはバッタ科で、まとまった雨が降ると繁殖活動が活発化する。1日で最長150キロ移動し、制御が難しいことで悪名高い。毎日自分の体重と同量の植物を食べ、体重は3か月で20倍に増える。