【2月23日 AFP】フィリピンの医薬品規制当局は22日、中国製薬大手シノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認したが、他のワクチンと比較して有効性が低いとして、医療従事者や高齢者への接種は推奨しなかった。

 フィリピンでは、シノバック製ワクチン「CoronaVac」の前に、すでに二つの新型コロナワクチンの緊急使用が承認されているが、いまだ届いておらず、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)政権は接種開始の遅れを批判されている。

 そうした中、中国政府は「CoronaVac」60万回分の寄付に同意。当局関係者によると、3~5日以内にフィリピンに到着する見込み。ただし、同ワクチンは安全性や有効性を懸念されている。

 フィリピン食品薬事管理局(FDA)トップのエリック・ドミンゴ(Eric Domingo)氏は、「ワクチンを使用するメリットは、既知または潜在的なリスクを上回る」と述べた。さらに「CoronaVac」は、18~59歳の「臨床的に健康」な成人に接種できるが、最前線の医療従事者や高齢者への接種は推奨しないと述べた。

 大統領報道官のハリー・ロケ(Harry Roque)氏によると、第1弾の接種は、エッセンシャルワーカーと兵士が対象になる見通し。

「CoronaVac」の有効性は、トルコで行われた臨床試験(治験)で91.25%を示したが、ブラジルで実施されたより厳密な治験では50%前後にとどまった。そんな「CoronaVac」の接種を推進することについて、ロケ氏は「予防策を全く講じないよりまし」だと正当化した。

 世界の多くの国ではワクチンに対する国民の信頼を高めるために、指導者自らが第1弾の接種を受けているが、ロケ氏によるとドゥテルテ大統領は高齢を理由に「CoronaVac」の接種を受けず、中国国営・中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製のワクチンが到着するまで待つ意向だという。(c)AFP