【2月23日 AFP】マレーシアは23日、ミャンマーからの移民1200人を海軍の船で送還することを計画している。ミャンマーでは今月初めに国軍がクーデターを起こして実権を掌握しており、前日22日には、懸念する米国などから送還中止を要請する声が上がった。

 船3隻でマレーシアからミャンマーに送還される移民の中には、社会的に弱い立場にある少数派に属する人々が含まれている。

 AFPの取材に応じた在マレーシア米国大使館は、懸念を表明するとともに、亡命希望の有無を確認するため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が送還予定者らに接触することを認めるよう、マレーシア当局に要請したと明かした。

 UNHCRによると、少なくとも6人は難民登録をしており、国際社会の保護を必要としていることが判明しているが、これ以外の圧倒的多数とは未接触だという。

 人権団体「フォーティファイ・ライツ(Fortify Rights)」のエイミー・スミス(Amy Smith)事務局長は、「ミャンマーからの避難民の保護を今こそ拡大し、国連(UN)によるアクセスを認めるべきだ。過去に数多くの深刻な人権侵害が報告されている軍事政権の手中に送り込んではならない」と警鐘を鳴らした。

 別の難民支援団体によると、送還予定者の中にはキリスト教徒の少数民族チン(Chin)や、紛争の影響下にあるカチン(Kachin)州とシャン(Shan)州の出身者らが含まれているという。

 当局は、今回送還される人々は不法滞在などの法律違反を犯している者であり、ミャンマー国民として認められていないイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)はいないとしている。(c)AFP