【2月22日 AFP】中国で香港政策を担当する高官は22日、香港行政が「愛国者」のみによって運営されるようにするための計画の概略を示した。中国政府は、香港議会に残っている民主派議員らを排除し、行政面でより直接的な役割を担おうとしている。

 中国は2週間後に、全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)の開催を控えており、香港に対する統制強化に向けたさらなる措置が予定されているとの臆測が広がっている。

 香港マカオ事務弁公室(Hong Kong and Macau Office of the State Council)の夏宝龍(Xia Baolong)室長が同日行った演説の書き起こしによると、夏氏は「愛国者らによる統治を実現するという最喫緊の課題は、関連する制度、特に選挙制度を改善することにある」と述べ、「愛国的というのはつまり中国を愛しているということだ」と説明したという。

 さらに夏氏は、当局は「反中国の厄介者ら」が政治に入り込む「抜け穴」を閉じなければならないとも語ったとされる。

 夏氏の発言からは、すでに限定的な香港議会選への民主派の出馬阻止を、中国政府が企図している様子がうかがえる。国営メディアもここ数週間、こうした排除を強調していた。

 香港政治には最近まで、表面的とはいえ選択肢が認められており、一部の区議選などでは小規模ながら民主派が公に活動する余地があった。

 2019年、暴力行為も頻発する大規模な民主派デモが広がり、野党候補者らが区議会選挙で圧勝すると、中国政府は苛烈な取り締まりで応じた。

 昨年の全人代で、香港国家安全維持法が導入された。同法により、香港内の抗議活動の大半が違法化され、香港と独裁的な中国政府との関係のあり方も激変した。このため香港市民は、今年の全人代の行方を注視している。(c)AFP/Su Xinqi