【2月22日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が2年前、ベトナム首都ハノイでの米朝首脳会談後に、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長(当時)を大統領専用機エアフォースワン(Air Force One)で北朝鮮まで送り届けると申し出ていたことが、英BBC制作のドキュメンタリー番組で明らかになった。

 ドキュメンタリーシリーズ「Trump Takes on the World(トランプ氏、世界に挑む)」によると、トランプ氏は2019年に行われた会談後、金氏にエアフォースワンに乗って帰らないかと提案し、「最も経験豊富な外交官をもあぜんとさせた」という。

 BBCは週末、トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたマット・ポッティンジャー(Matthew Pottinger)氏が、「トランプ大統領は正恩氏をエアフォースワンで送ると申し出た」と証言したと伝えた。

 ポッティンジャー氏によれば「大統領は、正恩氏が鉄道で中国を経由し数日かけてハノイ入りしたことを知っており、『もしよければ2時間で家まで送り届けられる』と言った。正恩氏は断った」という。

 もし金氏がこの申し出を受けていたら、同氏と恐らくはその側近数人が米大統領専用機に乗って北朝鮮の領空を飛行していたことになる。そうなれば、安全保障上の問題が複数生じたとみられる。

 トランプ氏は、2018年にシンガポールで行った初会談の際、金氏への友好の証しとして、高級車キャデラック(Cadillac)を改造した価格150万ドル(約1億5800万円)の大統領専用車「ザ・ビースト(The Beast)」の内部を見せていた。(c)AFP