■生息地の消失

 トンレサップ湖の水位変化が周囲の湿地帯に重大な影響を及ぼしており、湖周辺に生息する絶滅危惧種の動植物の個体数減少を引き起こしている。

 野生生物保全協会(WCS)の最近の研究によると、トンレサップ湖の自然生息地の3分の1近くが2018年までの25年間で消失しており、現在は洪水時には浸水する氾濫原の半分で稲作が行われているという。

■時の変遷

 トンレサップ湖に浮かぶ村々は、何世代にもわたって湖の縮小と拡大に対応してきた。大半は、漁業やカヌーによる村周辺での食料販売で生計を立てている。

 だが現在、渇水と魚の消失により、湖上の村コーチバン(Koh Chivang)の伝統的な生活様式が脅かされている。親たちは水上家屋を維持するために村にとどまる一方、若者たちは仕事を求め都会に出ていく。

「私たち漁師は、水と魚と森林を頼りにしています。これらがなくなったら、何にも期待できないのです」と、バンさんは話した。「おしまいなんです」

 映像は2020年10月に取材したもの。(c)AFP/Suy SE