【2月22日 AFP】21日に行われた全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)男子シングルス決勝を制し、9度目の大会制覇を果たしたノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が試合後、「まだ癒えていない」肉離れのけがや、メディアや世間からの攻撃もあって過去最も厳しい大会の一つだったと振り返った。

 世界ランキング1位のジョコビッチは、決勝で絶好調のダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)の脅威を一蹴し、7-5、6-2、6-2で勝利。メルボルンパーク(Melbourne Park)のキングとしての地位をさらに固め、四大大会(グランドスラム)での優勝回数を18に伸ばした。

 しかし、今大会では新型コロナウイルス対策で開幕前に14日間の隔離を余儀なくされただけでなく、オーストラリアテニス協会(Tennis Australia)に宛てた大会前の隔離環境に関する要望書が「短気で身勝手」と取られるなど、多くのハードルがあった。

 ジョコビッチは豪テレビ局チャンネルナイン(Channel Nine)で「正直に言って、気持ちの面で過去最も過酷な大会の一つだったと思う」と明かし、「隔離があり、メディアでもいろいろなことが起きた。自分が書いた手紙や選手のための提案は要求のリストとして誤解された。気づいたらこの国でペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)となっていた」と話した。

 さらに「そうしたこと全てに対処するのはつらかった。そうしたら今度は3回戦でけがをした」と、あわや棄権を余儀なくされるような腹筋の肉離れについて言及した上で、「浮き沈みが激しい道のりだった。そのせいで余計にうれしいのだと思うし、この大会から多くの前向きな要素を得られたのは間違いない」と付け加えた。

 この勝利で世界ナンバーワンとしての地位を強化したジョコビッチは、22日に発表される最新の世界ランキングで1位在位通算311週とし、フェデラーが保持していた310週の記録を抜く。

 そのことについてジョコビッチは、「歴史的なナンバーワンの記録を達成することができた。うそのようだが、もちろん非常に幸せだし、誇りに思う」と語った。

 今後はどの大会の出場も決めておらず、「今はグランドスラムに集中している。そこが自分が輝きたい場所だ。年齢はただの数字にすぎないというのは分かっているが、現実的に物事を見る必要もある。もう22歳ではない」と言う。「これからはグランドスラムで適切なタイミングでピークに調子を持ってこられるよう、スケジュールやカレンダーを別のやり方で調整していかないといけない」 (c)AFP/Martin PARRY