【2月21日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は20日、就任から1か月を迎えた。イランからミャンマー、気候変動といった課題に取り組む中、一貫して見せている側面がある──同盟国や友好国と堅固な関係性を築こうとする姿勢だ。

 この時点で「バイデン・ドクトリン」について語るのは早すぎるかもしれない。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の哲学である「アメリカ・ファースト」からは、バイデン氏はすぐに方向を転換した。

 バイデン氏は19日、オンライン形式で開催されたミュンヘン安全保障会議(Munich Security Conference)で就任後初となる国際舞台での演説を行い、「同盟国や友好国と足並みをそろえる」と約束した。

 新型コロナウイルスや気候変動という自身の最優先課題で国際的な協力が不可欠とみるバイデン氏は、早々と地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」に復帰し、世界保健機関(WHO)からの脱退を取りやめた。

 イランとの関係改善に向けた第一歩としては、トランプ氏が離脱を表明した核合意について欧州連合(EU)から提案された非公式会合を、米国務省が受け入れている。

 ミャンマーで国軍によるクーデターが発生した後には、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が軍当局の説得のため、ミャンマーと友好的な関係にある日本とインドとの共同戦線を張る姿勢を示した。

 バイデン氏はまた、同盟国ドイツから米軍を撤退させるトランプ氏の計画を破棄し、韓国と在韓米軍の駐留経費の負担をめぐる摩擦の解決に向け動いた。さらに対北朝鮮外交の検討のため、緊張が続く日韓両国と協議を行った。

 台頭する中国やベネズエラの左派指導者ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)氏との関係については、バイデン氏の政策はトランプ政権からの方針転換というより、国際的な支援を取り付けたい側面の方が強い。

 バイデン氏と中国の習近平(Xi Jinping)国家主席による電話会談後、ある米当局者は「トランプ氏の戦略に関してバイデン氏が主に批判しているのは、トランプ氏が中国との貿易問題をめぐって強硬姿勢を取らなかったことではなく、同盟国や友好国と対立しながら単独でやろうとした点だ」と語った。(c)AFP/Shaun TANDON