【2月21日 AFP】オーストラリアで21日、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。翌日から集団接種が本格化するのを前に、スコット・モリソン(Scott Morrison)首相らが先行接種を受けた。

 最初にワクチン接種を受けたのは、第2次世界大戦(World War II)を経験し、現在は高齢者施設で暮らす80代のジェーン・マリシアク(Jane Malysiak)さんで、医療従事者らが後に続いた。

 モリソン首相もシドニー北西部にある医療施設で、独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)と米製薬大手ファイザー(Pfizer)が共同開発したワクチンの接種を受けた。これについて政府は、ワクチン接種に対する国民の信頼を高める取り組みだとしている。

 モリソン首相は「あすからワクチン接種プログラムを開始する。きょうはその幕開けとして、(ワクチンは)安全で重要であること、そして重症化リスクが最も高い人や(流行との闘いで)最前線にいる人から接種を始める必要があるという非常に重要な点をここで示した」と語った。

 豪公共放送ABCによると、前日には主要都市で数千人が参加するワクチン反対デモが行われ、メルボルンでは複数の参加者が逮捕された。

 同国ではここ数か月、ワクチン接種をためらう風潮が高まっており、オーストラリア国立大学(Australian National University)の調査によれば、国民の約22%が接種を受けない可能性が高いと回答している。

 これまでのところ同国は感染拡大の封じ込めに比較的成功しており、人口約2500万人に対して感染者数は約2万9000人、死者数は909人となっている。(c)AFP