【2月21日 AFP】ルーマニアの保健当局は20日、ホームレス約300人が新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたと発表した。同国はデンマークに次いで欧州でいち早く、ホームレスをワクチン優先接種の対象としている。

 保健副大臣はAFPに対し、ホームレスは「感染リスクが最も高い人の一人だ。その大多数が感染防止措置に従うことは難しい」と語った。

 ルーマニアでは医療従事者の次に、65歳以上の人、慢性疾患のある人、教師がワクチン優先接種の対象とされてきた。しかし、政府は慈善団体の圧力を受けて、デンマークに続いてホームレスを優先対象に追加することを決定した。

 この数日間で首都ブカレストなど複数の都市にあるホームレスのシェルターに、ワクチン接種部隊が派遣された。

 実際の人数はその数倍に上るとみられているが、同国では1300人以上がホームレスとして登録されている。うち282人が1回目のワクチン接種を、246人が2回目を終えた。

 ただし、ブカレストでホームレス約300人に食料品や衣服、医薬品を提供する団体「Carusel」のマリアン・ウルサン(Marian Ursan)氏は、路上生活者の多くは接種に関して信頼できる情報が十分になく、不信感を抱いている可能性があると指摘する。

 人口約1900万人の同国では、約2万人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により死亡した。昨年末からこれまでに77万1000人がワクチン接種を受けており、うち約22万4000人が1回目の接種を、約54万7000人が2回目を終えた。(c)AFP