【2月20日 AFP】欧州の若い女性の大半が攻撃や嫌がらせを恐れて外出先や会う相手を制限していることが、19日に公開された欧州連合(EU)機関の報告書で明らかになった。

 オーストリアのウィーンに本部を置く欧州基本権庁(FRA)の報告書によると、「驚くべきことに、16歳から29歳の女性のうち83%が、身を守るために外出先や共に時間を過ごす相手を制限している」。

 この数値は、EU全域、英国、北マケドニアの約3万5000人が回答したアンケート調査に基づいて犯罪被害者の体験をまとめたFRAの報告書で明らかにされた。

 報告書の著者であるサミ・ネバラ(Sami Nevala)氏はAFPに「性的嫌がらせは特に女性に影響を及ぼし、女性の知人ではない者によって公共の場で起きる場合が多い」と説明した。

「これらの体験は、安全に外出できる場所や時間帯について、女性たちの考えに反映される。女性が男性と同様に公共の場を利用できないことを示すもので、男女平等の観点で大きな問題だ」

 報告書によると、同様に行動を制限すると回答した同年代の男性は58%で、この問題には性別によって明確な違いがあることが示された。

 FRAによると、EUではほぼ10人に1人が調査からさかのぼって5年以内に暴力行為を受けた経験があり、その割合は国によって3%から18%となっている。

 調査では若年層、少数民族、異性愛者でない人々、障害者は他の人々よりも暴力を経験したことのある割合が高かった。

 また、身体的な暴力行為の約30%、嫌がらせの約11%しか警察に通報されておらず、こうした犯罪の報告数が実際よりも少ない問題も明らかになった。(c)AFP