【2月19日 AFP】イランは19日、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権が対話を提案したことを受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が在任中にイランに科した全ての制裁を解除するよう改めて要求した。

 イランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相は、もし米国が「トランプ氏により適用され、再適用され、あるいは名称変更された全ての制裁」を「無条件かつ実効的に」解除すれば、イランは対抗措置を「即座に撤回する」とツイッター(Twitter)で表明した。

 2015年、当時のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が仲介し、国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国である英中仏ロ米の5か国にドイツを加えた6か国は、イランとの核合意を締結。イランはこれに基づき、経済支援と引き換えに核開発計画を大幅に縮小した。

 2018年、イランを屈服させようと企図するトランプ氏は、核合意から米国を離脱させ、広範に及ぶ制裁を再び科した。

 バイデン政権は18日、破綻寸前の核合意を救うため、欧州の同盟諸国主導での対話をイランに提案するとともに、トランプ氏が導入した2つの象徴的な措置を撤回していた。

 イランは21日を、トランプ氏の制裁解除の期限と定め、解除されなければ国連(UN)の視察を制限すると主張。アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は仏英独と共に、これを「危険」な動きだと警告していた。

 ブリンケン長官と仏英独の外相がビデオ会議を終えた数時間後、欧州連合(EU)のエンリケ・モラ(Enrique Mora)欧州対外活動庁事務次長はツイッターで、イランを交えた「非公式会合」を提案。米国はこれを受け入れた。

 ザリフ外相のツイートは、バイデン政権からの対話の提案に明確に応じるものではない。イランはこれまでにも、米国による核合意離脱から約1年後に開始した対抗措置をイラン側が撤回する前に、トランプ氏の制裁の方を先に解除するよう要求していた。

 英国は即座に、対話の提案を歓迎。またロシアは、米国が制裁適用の呼び掛けを撤回したことは「良いことだ」とした上で、必要なのは核合意への完全復帰だと強調した。(c)AFP/Karim Abou Merhi with Shaun Tandon in Washington