■「素晴らしい王者」

 セレーナが五輪にあと1回出場し、グランドスラムのタイトル獲得数で最後に記録を打ち立てれば、今シーズンに現役を引退すると予想している解説者は多い。

 妊娠中の2017年に出場した全豪オープンを制して以降、セレーナのグランドスラム優勝回数はマーガレット・コート(Margaret Court)氏の歴代最多記録まであと一つに迫る23で止まったままとなっている。グランドスラム決勝の成績は、2016年までは計28戦でわずか6敗だったが、出産後にツアー復帰を果たしてからは4戦全敗となっている。

 コーチのパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)氏は、テニスがまだアマチュア競技だった時代に13個のグランドスラムタイトルを獲得したコート氏とセレーナの実績を比較することはできないと主張している。

「テニスには、オープン化以前と以後が存在する」というムラトグルー氏は、「その二つは違う競技であると全員が知っている。アマチュアスポーツとプロスポーツだ。それを比較しても意味がない」と述べた。

 一方、男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、セレーナがコート氏の記録に追いつけずにもがいていることについて、「もっと広い視野」で自身のキャリアや周囲に与えてきた影響を見つめるべきだとの見解を示した。

 グランドスラムで通算17回の優勝を誇るジョコビッチは、「世界中の男女両方のアスリートに刺激を与えている素晴らしい王者」だとセレーナをたたえ、「だけど、もっと広い視野で彼女を見つめ、その人物像の全てやコート内外での立場を踏まえれば、テニス界だけに限らず史上最高のアスリートの一人だと思う」と語った。(c)AFP