2021.02.21

CARS

一度ハマると抜けられない「ミニ」の世界へようこそ 新型ミニ・クロスオーバーに乗る

他の多くのミニが丸形ヘッドライトを採用しているのに対し、SUVのクロスオーバーはワイルドなイメージを強調したいからなのか、ちょっと角張ったデザインとなる。従来モデルとはフロント・グリルやバンパーの形状が変わった。(写真=柏田芳敬)

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ミニのSUV版、クロスオーバーがフェイスリフト(=マイナーチェンジ)。規模はそれほど大きくはないものの。内外装のデザイン変更を中心に改良された。そんな新しくなったチョット大きな(いや、かなりかも……)背高ミニに、従来モデルをはじめ歴代のミニを何台も所有した女性モータージャーナリストの竹岡 圭さんが試乗。乗ったのは、最近注目度がドンドン高まっている電動化モデル、プラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)のクーパーS Eハイブリッド。その印象を、竹岡さんとミニとの思い出話とともにを紹介する。


リアまわりで一番変わったのはテールライト。現行型の3ドア系で初めて登場した左右合わせると英国国旗のユニオンジャック柄になる新しいデザインが採用された。(写真=神村 聖)

4台のミニを乗り継いだミニ信者!?

そうですか~。私にミニのこと聞きますか(笑)。間違いなく日本でいちばんミニに乗っているモータージャーナリストだと思いますが、大丈夫ですか~? 褒めまくりますよ~と、この原稿依頼をいただいた時に、ひとりでほくそ笑んでしまいました。


というのもですね。何を隠そう2003年から「R50」(BMW世代になって最初=初代の3ドア)→「R56」(2代目3ドア)→「F55」(2代目ベースの、クラシック・ミニの時代から数えてもMINI史上初の5ドア)→「F60」(現行フェイスリフト前のクロスオーバー)と、4台もMINIを乗り継いできているんです。


こう書くとね「もらってるんじゃないの?」とか「借りてるんじゃないの?」とか言う人もたまにいるんですけど、全部自腹で愛車として購入しております! なんたって、新車をローン組んで買ったのだって、MINIが最初だったりするくらいですからね。筋金入りです(笑)。


もちろんミニの次にミニを買うのって、正直抵抗ありました。こういうお仕事をしているので、なおさら。でも、その時にいちばんピッタリきたのが、たまたまミニだったので乗り継いできただけなんですよね。


オースチン、ローバー世代のクラシック・ミニに採用されていたセンター・メーターをモチーフにしたインパネ。インパネ中央の丸い部分に今収まるのは、マルチ・インフォメーション・ディスプレイ。ナビゲーションもここに表示される。フェイスリフトではメーター・パネルが液晶パネルのヴァーチャル表示になった。(写真=茂呂幸正)
高さを有効活用した室内はけっこう広々。親子4人はもとより大人4人の移動もまったく苦ではない。(写真=茂呂幸正)
ラゲッジスペースもクラシック・ミニ世代では想像がつかないほど広くなった。4人で1泊の旅行ならラクラクこなせるはず。オプションながら簡易ベンチになる機能も備える芸達者でもある。(写真=茂呂幸正)

最初からPHEVがあったら、買ってたかも

4台の中でも、走行距離がいちばん多かったのが、私の中では4代目となる従来型のクロスオーバーなのです。それだけ利便性が高く、機動力が高い証だと思ってください。ちなみに私のはディーゼル・エンジン・モデルですけどね。


実は発売当初は、ディーゼル・エンジンのラインアップしかなく、PHEVモデルは後から加わったので、私が購入した時、PHEVの「S E」はまだ存在しなかったんですよ。なので、正直なこと言いますと、初めてS Eに乗った時「あぁ~、同時に出てたら、もしかしたらこっち買った可能性もあるなぁ~」と、思っちゃったくらいよかったんですよね。中間加速の時に、ディーゼルはちょっとしたタイムラグがあるんですが、S Eはそこをモーターがフォローするので、よりダイレクト感が高く、思ったままに操れるミニらしいドライブが楽しめたんですよ。そして今回試乗したのは、そのフェイスリフト後のモデルですから、もはや悪いわけがない(笑)。


というのも、ミニのマイナーチェンジは間違い探しゲームくらいのレベルで、「マニアにしかわからない」とからかわれるくらいわかりにくい変化が多いんですが、しかも今回のフェイスリフトでは、S Eモデルがほかのグレードよりもさらに変更が少ない。例えば、わかりやすいところで言いますと、他のクロスオーバーはシフトレバーが変わったんですけど、SEはそのままだったりとか…って、すみません。分かり難いか…(汗)。もはやマニアの話でしたね。


ミニ3ドア系のクーパーに採用されている1.5リッター直3ターボにモーターを1つ追加したハイブリッド。136psのエンジン、88psのモーターを組み合わせることで、224psのシステム総合出力を発生する。ちなみに、ガソリン・エンジンを搭載するクロスオーバーはPHEVと最速モデルのジョン・クーパー・ワークスのみで、あとのグレードはすべてディーゼルとなる。(写真=茂呂幸正)
給電口は左フロント・フェンダーに備わる。電池のみでの走行、いわゆるEV走行はJC08モードで55km、WLTCモードで53kmとなっている。(写真=茂呂幸正)

一緒に遊びたがるペットみたい

そんな話はさておき、クロスオーバーがどんなクルマかと言いますと、プラットフォームを現行型のBMW・X1&X2やミニ・クラブマンと共有しておりまして、ミニの中ではいちばん大きなモデルとなります。そのせいで「こんなに大きくなったら、もはやミニじゃない」とか言われることも多いのですが、そんなのはまったく余計なお世話(笑)。ミニの心を持ったクロスオーバーSUVとして、ものすごくイイトコロを突いたクルマなんです。


例えば、数ある輸入車SUVの中でもボディのサイズ感が、大きすぎず小さすぎずで絶妙。全高が1.6mなので、立体駐車場には入りませんが、たぶんルーフレールで50mmくらい稼いでいる気がするので重心は低め、中でもS Eはボディの下の方に電池を搭載していて、さらに重心が下がっているため、高速道路はドイツ車っぽくビシッと真っすぐ走ってくれます。また、ミニの中では一番脚のストローク感があり、乗り心地もしなやかにまとめられているため疲れ知らず。頭上空間が開けているためか、開放感もなかなかに高く、なんだかどこまでも遠く行けてしまう気持ちになるクルマなんです。実際に遠くに行ってもEVじゃなくPHEVだから安心。


もちろん、ミニらしくコーナリングも得意分野。ひとたびワインディング・ロードに向かえば、オン・ザ・レール感覚のカチッとした走りで楽しませてくれるし、4WDなので、そこそこの悪路もクリアできちゃう頼もしさ。悪路を「どれくらい走ったかメーター」なんていうおふざけが付いているところなんかは、さすがミニの真骨頂。真面目にふざけているのがミニが痛快に楽しいところなんです。


だからユーティリティも抜かりなし。バック・ドアをリア・バンパーの下に足を入れるキッキング・モーションで開閉できたり、オプションでラゲッジ・ルームに簡易ベンチなんかも取り付けられちゃったりして、もはや一緒に遊ぼうと誘われてるペットの感じ。だからミニの世界に一度ハマると、なかなか抜けられないんですよねぇ……。トホホに楽しい毎日が待ってること請け合いです。


背の高いSUVだが、パイロン・スラロームのような走りも苦手ではない。(写真=小林俊樹)
新型ミニ・クロスオーバーは2.0リッター直4ディーゼル・ターボのクーパーDから225psの2.0リッター直4ターボのジョン・クーパー・ワークスまで5グレード。価格は430万~609万円で、今回試乗したクーパーS Eは510万円となっている。(写真=神村 聖)

文=竹岡 圭


■ミニ・クーパーS E クロスオーバー
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4315×1820×1595mm
ホイールベース 2670mm
トレッド(前/後) 1563/1565mm(欧州仕様値)
車両重量 1770kg
エンジン形式 直列3気筒DOHC12V直噴ターボ+交流同期電動型
総排気量 1498cc
ボア×ストローク 82.0×94.6mm
エンジン最高出力 136ps/4000rpm
エンジン最大トルク 200Nm/1300-4300rpm
モーター最高出力 88ps/4000rpm
モーター最大トルク 165Nm/3000rpm
システム総合最高出力 224ps/-rpm
システム総合最大トルク 385Nm/-rpm
変速機 6段AT
サスペンション形式(前/後) ストラット式/マルチリンク式
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前/後) 255/50R18
車両価格(税込) 510万円


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