【2月21日 東方新報】中国では国民が1年で最も大切にしている春節(旧正月、Lunar New Year)の大型連休を迎えているが、今年も新型コロナウイルスとの闘いを強いられている。「世界最大級の人口移動」といわれる春節期間中の帰省や旅行を自粛するよう、政府は「現地で年越し」を提唱。各地ではあの手この手の「引き留め策」が行われ、多くの国民も呼びかけに応じている。

 中国交通部が1月末に発表した予測によると、今年の春節前後の特別ダイヤ期間中、約17億人が交通機関を利用。1日平均約4000万人で、コロナ禍以前の2019年より4割以上少なく、2020年よりは1割強増えるという。鉄道部門では春節前の切符の予約が例年に比べ6割近く減少し、全国の乗客数は2億9600万人にとどまる見通しだ。また、中国の36の大・中規模都市では、春節を居住地でそのまま過ごす人が例年より約4800万人増えている。

「現地で年越し」を推進するため、政府や自治体、企業がそれぞれ対応策を進めている。北京や上海などの大都市では新年を祝う関連商品の需要が大幅に増加。商品の十分な供給と価格の安定確保を徹底している。

 北京市では市営公園の無料開放、消費電子クーポンの発行、オンライン文化公演などさまざまな活動を企画。出稼ぎ労働者が多い浙江省(Zhejiang)や広東省(Guangdong)などでは、現地にとどまる労働者に慰労金や特別手当の支給、携帯電話のデータ量補助などをしている。春節の連休期間をずらして取得できる措置を導入する企業も多い。

 また、春節気分を少しでも味わうため、都市近郊の民宿などで家族が過ごす「地元旅行」を推奨し、行政が割引措置を取る「地元限定GO TO キャンペーン」も各地で行われている。

 一方で春節に帰省が必要な人のためには、多くの地域でPCR検査の費用を下げ、負担を軽減。浙江省では、帰省者の人数や出身地に応じて農村地帯の感染危険度を赤、黄、青の色で区別し、地域の実情に応じた予防策に取り組んでいる。

 中国では昨年いったんは新型コロナを収束させたが、世界各国同様、繰り返し押し寄せるコロナの「波」に襲われている。昨年12月半ばからワクチン接種を開始。例年なら多くの国民が移動し、家族や友人で連日飲食を共にする春節期間は最も感染リスクが高い。感染拡大を抑える「正念場」として、官民一体となって国民の理解と協力を求め、国民も応えようとしている。(c)東方新報/AFPBB News