【2月18日 AFP】台湾の衛生相は17日、新型コロナウイルスワクチン500万回分を確保する計画が「政治的圧力」により最終段階で頓挫したと訴えた。中国が台湾のワクチン接種を妨害しようとしている恐れがあるとの懸念が生じている。

 陳時中(Chen Shih-chung)衛生相はラジオ局の取材に対し、米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンを確保するためにビオンテックと行っていた重要な交渉が「最終段階で」決裂したと明かした。

 陳氏は「政治的圧力があった」とみており、「合意が成立しなかったのは、台湾があまりに喜ぶのを好まない者がいるからだ」と述べた。

 ビオンテックは中国医薬品大手の上海復星医薬集団(Shanghai Fosun Pharmaceutical Group)と、同国へのコロナワクチン提供契約を結んでいる。

 中国が交渉を妨害した恐れがあるのかと問われた陳氏は、「その可能性はあるかもしれないが、確認が取れない。われわれは(ビオンテックとの)やりとりを続けている」と答えた。

 AFPは上海復星医薬集団とビオンテックにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 シンクタンク「プロジェクト2049研究所(Project 2049 Institute)」に所属する台湾・中国の専門家、ジェシカ・ドラン(Jessica Drun)氏は、新型コロナウイルスの流行に乗じて中国が台湾に圧力をかけたことは過去にもあると指摘している。

 ドラン氏は「本来政治と無関係であるべき人々の健康を、中国が継続して兵器化、政治化していることは、 特に世界保健機関(WHO)絡みの経緯を踏まえると、驚きと捉えるべきではない」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP