豪議会で元政府職員がレイプ被害 首相、妻の助言受け謝罪
このニュースをシェア
【2月16日 AFP】オーストラリア政府の元職員が、議会内の閣僚の執務室で同僚にレイプされ、上司に報告したものの適切な対応が講じられなかったと告発した。問題を受けて、首相は16日、前夜に妻からの助言があったことを明かした上で謝罪した。
告発したのは、保守派与党・自由党の職員だったブリタニー・ヒギンス(Brittany Higgins)さん。2019年のある夜、党の同僚らとの飲み会に参加した後、現在国防相を務めるリンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)氏の執務室で、男性の同僚から性的暴行を受けたと主張している。
ヒギンスさんはニュースサイト「news.com.au」に対し、事件を上司に報告したところ、レイプ現場とされる同じ部屋で人事会議に出席するよう求められたと語った。
当時24歳で「憧れの仕事」に就いてわずか数か月だったヒギンスさんは、キャリアをとるか警察への正式な被害届をとるかという選択を迫られたと感じたと振り返った。
豪政界では近年、いじめや嫌がらせ、性的な不適切行為など、女性に対する不当な扱いをめぐる問題が相次いでいる。
政府は当初、当時の対応を擁護。ヒギンスさんには警察への通報を勧め、どんな決断でも支持しただろうと主張した。ただある関係者は、人事会議の場所は確かに不適切だったと認めた。
しかし国民の怒りを受けてスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は対応の方向性を改め、16日に謝罪。
2人の娘を持つ首相は、妻のジェニー(Jenny Morrison)氏から助言を受け、踏み込んだ対応が必要だと気付いたと説明した。
「昨晩ジェニーと話し、『この件では、まず父親の立場で考えるべきだ。もし(被害者が)私たちの娘だったら、どういう対応を望むのか』と言われた」と明かした。
この上で首相は、性的暴行に関する訴えに対処する手順や、議会内の職場風土について調査を行う方針を発表した。
ヒギンスさんは、首相の謝罪については感謝を表した。その一方で上述のニュースサイトに対し、「議会風土について調査するという首相の発表は歓迎すべき第一歩だ、あまりに遅かったが」と言い添え、問題を公にするまで首相が対応しなかったことに苦言を呈した。
モリソン首相のコメントについては、妻に相談しなければ問題の深刻さが理解できなかったのかという批判の声も上がっている。(c)AFP