【2月17日 AFP】シンガポールの技術系企業に勤めるスーアン・チュン(Sue-Anne Chng)さん(35)は、以前は春節(Lunar New Year、旧正月)の15日間はずっと日替わりで新しい服を着ていた。この期間に服を新調してスタートを切る慣習があるためだ。

 だが、今年は古着と決めている。店で自分の古着と交換して入手した。チュンさんのお気に入りの「ファッション・パルピット(Fashion Pulpit)」では、ファストファッション(最新のデザインで大量販売する低価格の衣料品)が環境に与える影響を懸念している顧客向けのサービスを提供している。

 国連環境計画(UNEP)によると、ファッション産業は全世界の炭素排出量の最大1割を占めており、衣類は製造から輸送、消費者による洗濯まで、さまざまな過程で炭素を排出している。

 チュンさんが最近、ファッション・パルピットに持ち込んだのはワンピース数着と、そろいのブラウスとスカートだ。店のスタッフが査定して、チュンさんのアカウントにポイントとして還元する。そのポイントを使ってチュンさんは17点を手に入れた。そのうちの1着、黄色と緑の服は春節の初日に着る。「縁起のいいパイナップル」に似ているからだという。パイナップルは繁栄の象徴と見なされ、シンガポールでは春節の贈り物や飾り物の定番だ。

「子どものときから親に、春節になると服をすべて新調するように言われて育ち、服を大量消費するのが当たり前のようになっていた」とAFPに語ったチュンさん。以前の自分なら、春節に親族の家を訪問する予定がなくても15日分の服を確実に一新していたはずだと話す。

「自分が持っている服の半分以上は、一度も袖を通したことがないものだった。それでも着るものがないと思っていた」と振り返る。「以前の私の消費習慣は常軌を逸していました」

 古着の交換サービスを知ったのは5年前。今では、「自分にとって初めてのものであれば、それで十分」だと言う。