帰省できないなら近くの民宿で観光を 春節連休で「地元旅行」がブーム
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【2月16日 東方新報】中国は春節(旧正月、Lunar New Year)の大型連休に突入しているが、今年は新型コロナウイルスの拡大防止のため「その場で年越し」が提唱され、帰省や長期旅行の自粛が求められている。その中で、自分が住む近郊の民宿で過ごす「地元旅行」が流行しており、地方政府も地域活性化のため後押ししている。
中国で民宿というと、おしゃれな建物や周囲の景観を売り物にするペンション風や、地域の生活様式を体験できる小さな宿泊施設、民泊にあたるホームステイなど幅広いタイプを指す。
上海市郊外では春節連休の稼働率が90%に達し、空き部屋を探すのが難しい地域もある。明や清の時代の街並みを残し、水郷の街として知られる上海西部の朱家角古鎮では、1泊5000元(8万1698円)する部屋でも予約がいっぱいだ。
江南地方特有の瓦屋根や街中の石橋、遊覧船の運河巡り、粽(ちまき)や豚足などの名物料理や特産品を売る店が並ぶ商店街。日ごろは遠方の観光客が訪れる街で上海市民がスローライフを堪能している。ある家族連れは「春節はもともと家族とごちそうを食べたり紅包(お年玉)をあげたりして、1年でもっともお金を使う時期。ずっと自宅にこもっているより、多少は散在しても新年を祝いたい」と話す。
中国商務部と文化観光部の統計によると、コロナ禍の影響を受けていない2019年の春節連休中は4億1500万人が旅行や観光を楽しみ、観光収入は5139億元(8兆3969億円)に上り、全国の小売り・飲食企業は約1兆元(16兆3396億円)以上の売り上げを達成した。逆にこの時期に稼げないとなると、観光・飲食業界には死活問題だ。各地の地方政府は春節の連休に合わせ、「地元だけのGO TO キャンペーン」とばかりに、旅行クーポンの発行などをして「カネを回す」支援をしている。
北京や広州(Guangzhou)、杭州市(Hangzhou)、成都市(Chengdu)など他の大都市でも「地元旅行」は活況を呈している。民宿は通常、1泊300元(約4901円)から500元(約8169円)ほどの価格帯が多いが、北京郊外の民宿では平均2000元(約3万2679円)の価格でも客でいっぱいとなっている。一組の家族で古民家やペンションを借り上げる民宿は「都会で過ごすより感染予防になる」と人気が高い。
コロナ禍では民宿業界も打撃を受けた。中国の民宿経営者は2019年で40万人を数えたが、2020年には15万軒の民宿が閉鎖した。ただ、民宿向け宿泊管理システム「訂単来了(Smart Order)」最高経営責任者(CEO)の沈愛翔(Chen Aixiang)氏は「サービスのグレードアップに成功した民宿はコロナ禍の荒波を乗り越えて生き残っており、むしろ民宿業界全体の好感度はアップしている」と説明する。学生時代に「訂単来了」を設立した若き起業家・沈氏は「民宿業界はこれからさらに成長する」とみている。
とはいえ、すべての民宿が順調というわけではない。上海市の古い町並みが残る川沙古鎮の民宿は「春節の連休中、最初の3日間は満室となったが、その後はガラガラ」と嘆く。自宅でネットショップやビデオ鑑賞などで連休を過ごす市民も多いため、人気が高いエリア以外では、すべての民宿を埋めるまでには至っていない。コロナが完全収束するまで、「荒波」はまだまだ続くようだ。(c)東方新報/AFPBB News