【2月18日 CNS】中国のファンド業界は「豊作の1年」といわれた2020年に続き、2021年も活況が続いている。最近は特定のファンドマネジャーに個人投資家の「ファンクラブ」ができ、そのマネジャーが選ぶファンドに資金をつぎ込む「追っかけ投資」現象も起きている。

「追っかけ投資」現象について、武漢科技大学(Wuhan University of Science and Technology)金融証券研究所の董登新(Dong Dengxin)所長は「これは良い傾向だと思う。1990年以降に生まれた若者たちがファンドに関心を持ち、資金管理を学ぶきっかけになっている」と分析する。

 蘇寧(Suning)金融研究院の薛洪言(Xue Hongyan)副院長も「現段階では、追っかけ投資はプラスの影響の方がマイナスよりも大きい」とみる。ファンドマネジャーの能力に注目が集まることは、ファンドの販売チャンネルを重視するより、ファンドの商品自体を評価するよう、業界を変えていくのに役立つという。ファンド業界も商品の品質向上に集中することができる。

 董所長もこの見解に賛同し、「多くのファンドが均質化している現状は非常に深刻だ。大規模なファンドが業界を主導する構図ははっきり言って危険である」と指摘。「追っかけ投資」はファンド業界が独自のブランドを構築することに効果的という。

 一方で董所長は「ファンドマネジャーは万能ではない」とクギを刺す。かつて「中国最優秀ファンドマネジャー」に選ばれた王亜偉(Wang Yawei)氏はファンド企業に勤務していた当時は680%超の投資回収率を誇ったが、独立した後の業績は平均的だ。スターのように扱われた人気ファンドが一気に業績が悪化することもある。

 薛副院長は「個人投資家が長期的に投資を続けるには、正確な投資哲学を持つことだ。特定のファンドマネジャーに頼らず、ファンドを管理するチームの能力、さらには企業全体を注視し、商品の内容と説明を注意深く検討する必要がある」と呼びかけている。(c)CNS-中新経緯/JCM/AFPBB News