【2月14日 AFP】米国で先月6日に起きた連邦議会襲撃事件を扇動した罪に問われたドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領(74)に対し、米上院は13日、無罪評決を下した。米史上初めて2度の弾劾裁判を受けながら、2度とも無罪となったトランプ氏の今後はどうなるのだろうか。

 上院での無罪評決はほぼ確実視されていたとはいえ、トランプ氏は胸をなでおろしたに違いない。同氏は声明を発表し、自身への弾劾裁判を「わが国史上最大の魔女狩り」と非難。

 トランプ氏は、「米国を再び偉大にする歴史的、愛国的で素晴らしい運動は始まったばかりだ」と述べ、「やらなければならない仕事は山ほどある。われわれはもうすぐ明るく輝かしい無限の米国の未来のためのビジョンを持って現れるだろう」として、政治活動を続けることを示唆した。

 トランプ氏はこれまでにも2024年大統領選への再出馬をにおわせたことがあるが、弾劾裁判で有罪評決が下されれば、公職資格を剥奪される可能性もあった。

 先月20日の退任以降、トランプ氏は数千万人のフォロワーを抱えていたツイッター(Twitter)のアカウントを剥奪され、フロリダ州に所有する高級リゾート施設「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」に引きこもっている。

 民主党の元オハイオ州議会上院議員で、現在はアメリカン大学(American University)客員起業家のカプリ・カファロ(Capri Cafaro)氏は、弾劾裁判での無罪はトランプ氏とその支持者らにとって「(行動を起こすための)ときの声」になり得ると語る。

 しかし、「無罪評決に関係なく、現時点で多くの人にとってドナルド・トランプ氏の遺産とは、1月6日の出来事だろう」とカファロ氏は指摘する。

 一方で、「ドナルド・トランプ氏に何かしらの役割があると考える米国人も出てくる」ことから、それが不動産王でもあるトランプ氏の民間部門での活動にも影響する可能性がある。

 カファロ氏は、「政界残留を試み続ける以外、選択の余地はほとんどないようなものだ」との見解を示した。

 ブラウン大学(Brown University)のウェンディー・シラー(Wendy Schiller)教授(政治学)も、トランプ氏の今後の選択肢は限られているとみる。

「企業が彼に講演の機会を提供すれば、すぐさまソーシャルメディア上で激しい反発が起き、製品のボイコットが起きる可能性もある」とシラー氏。「上場している大企業や消費者に直接製品を提供している企業は、トランプ氏が所有する物件で会議やイベントを開催するだけでも問題になるだろう」 (c)AFP/Chris Lefkow and Jerome Cartillier