【2月14日 AFP】エジプト観光・考古省は13日、古代エジプトの墓所だった南部アビドス(Abydos)の遺跡で、「世界最古」とみられる大量生産型のビール醸造所が発掘されたと発表した。

 同省はフェイスブック(Facebook)に、「ニューヨーク大学(New York University)のマシュー・アダムズ(Matthew Adams)博士とプリンストン大学(Princeton University)のデボラ・ビシャック(Deborah Vischak)博士が率いるエジプトと米国の合同考古学調査団は、ソハーグ(Sohag)県北アビドス(North Abydos)の調査で、世界最古とみられる大量生産型のビール醸造所を発掘した」と投稿。

 エジプト考古最高評議会(Egyptian Supreme Council of Antiquities)のムスタファ・ワジリ(Mostafa al-Waziri)事務局長の発言を引用して、醸造所が「ナルメル王(King Narmer)時代に造られた可能性がある」との見解を示した。

 5000年以上前にエジプトを統治したナルメル王は第1王朝の創始者で、上エジプトと下エジプトを統一した。ビール醸造所が存在することは20世紀初頭に英国の考古学者が初めて確認したものの、正確な場所はこれまで特定されていなかった。今回エジプトと米国の合同調査団は醸造所の場所を改めて確認した上で発掘作業を行った。

 ワジリ氏によると、醸造所は「ビール生産設備」として利用された広い8区間で構成。各区間には約40個の土器が2列に配置されていた。ビールの原料である穀物と水を交ぜたものは土器の中で加熱され、土器は「円形に取り囲む粘土製の道具」で一つ一つ垂直に固定されていた。

 古代エジプトのビール造りの証拠自体は目新しいものではなく、これまでの発見で生産が行われていたことは明らかになっていた。イスラエル考古学庁(Israeli Antiquities Authority)は2015年、テルアビブの建設現場で、エジプト人がビール造りに使用した約5000年前の陶器の破片が発見されたと発表した。(c)AFP