【2月14日 AFP】米連邦最高裁判所のスティーブン・ブライヤー(Stephen Breyer)判事は、日産自動車(Nissan Motor)前会長カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告の日本出国を手助けしたとされる米国人2人について、日本への引き渡しを差し止めるよう求めた緊急申し立てを棄却した。

 マイケル・テイラー(Michael Taylor)容疑者と息子のピーター・テイラー(Peter Taylor)容疑者は、身柄引き渡しを認めないよう訴えていた。ブライヤー判事は棄却の理由を明らかにしていない。

 両容疑者は2020年5月、ゴーン被告が前年12月29日に東京からレバノンに逃亡する手助けをしたとして日本で逮捕状が出されたことを受け、日本からの要請によってマサチューセッツ州内で拘束された。2人はゴーン被告を大きな箱の中に隠し、プライベートジェット機で運んだとされている。

 また、レバノン国籍のジョージ・ザイエク(George-Antoine Zayek)容疑者もゴーン被告の逃亡を共謀したとして日本の逮捕状が出ている。ゴーン被告はブラジル、フランス、レバノンの国籍を所持している。

 ブライヤー判事による今回の判断は、ボストン(Boston)の第1巡回控訴裁判所で11日に裁判官3人が下した判断を支持するもの。また、1月末に米連邦地裁が両容疑者の日本への身柄引き渡しを認めている。

 両容疑者の弁護団は、日本の刑務所で拷問のような扱いを受けるおそれがあるため日米間の犯罪者引き渡し条約に反するに十分であると主張していたが、連邦地裁、控訴裁のいずれもこれを退けていた。

 さらにマサチューセッツ州のインディラ・タルワニ(Indira Talwani)連邦判事は、両容疑者の行為は、日本に加えて米国でも犯罪と見なされると指摘した。(c)AFP