【2月13日 AFP】全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)の男子シングルスに出場していた米国のテイラー・フリッツ(Taylor Fritz)は、12日に行われたノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)との試合中にファンが会場から退去させられたのは「全くばかげている」と主張し、四大大会(グランドスラム)ではあってはならないことだと怒りをあらわにした。

 開催地メルボルンを中心とする豪ビクトリア(Victoria)州は、新型コロナウイルスの影響で同日深夜から600万人以上が5日間のロックダウン(都市封鎖)に突入することになっていた。そのためフリッツ対ジョコビッチの3回戦では、大会側が午後11時30分に試合を一時中断して会場のロッド・レーバー・アリーナ(Rod Laver Arena)を無観客にした。

 大会スタッフが観客がいなくなるのを確認する間、両選手はコートから出るように指示されたが、そのときフリッツは勝負を最終セットに持ち込むべく、けがに見舞われたジョコビッチとセットカウント2対2で並ぼうとしていたところだった。

 同選手は試合を振り返り、「正直なところ、まさに本音で言えば、第4セットの途中でコートから10分間出て行くように言われるなんて、グランドスラムの試合では全くばかげている」とすると、メジャー大会ではあってはならないことだと強調した。

 さらには、「ビクトリア州が再びロックダウンに突入し、人々が会場から出て行かなければならないのは理解できる。それならば、試合が時間までに終了できない可能性を想定し、今夜は試合をするべきではなかったんだ」と主張した。

 スタジアムでは騒々しく盛り上がっていた観客の大半がフリッツに味方していたのに対し、通算8度の全豪優勝を誇りながらも大歓迎されたことは一度もないジョコビッチにはやじが飛ばされる場面があった。

 フリッツは第4セットを制したものの第5セットでは調子を崩し、「ファンがいなくなったことが、自分にとって痛かったかもしれない。なぜなら、彼らが後押ししてくれていたから」と話し、無観客となったことが影響したと分析した。

 感染力が増している英国型のウイルス変異株がメルボルンの空港ホテルで見つかったことによる今回のロックダウンでは、ファンは試合の観戦が禁止され、選手たちは衛生的に安全が保たれた「バブル」の中で過ごすことになっている。(c)AFP