【2月12日 People’s Daily】1階には卓球室、カラオケルーム、2階にはダンススタジオ、ボーリング場、ビリヤードルーム、3階にはバドミントン館がある。これはあるスポーツジムや体育館ではなく、中国・北京市朝陽区望京利沢中園コミュニティーにある老年活動センターだ。

 記者が李芳蘭(Li Fanglan)さんに会った時、李さんは試合を終えたばかりで、バドミントンのラケットを持って下に降りていた。李さんは「この場所は使いやすい。利用料は高くないし、球技のコーチもいる。お昼には下りてきてご飯も食べられる。とても便利。基本的には2日に1回は運動しに来る」と話した。

 中国では、ますます多くの高齢者が李さんのように、定年退職後に積極的に各種の文化・芸能活動に参加し、「老有所楽(高齢者が趣味娯楽を通じて精神的な充実感が得られること)」を求めるようになった。

「揺り椅子に座って揺れながらのんびり過ごす」という型にはまったイメージとは違い、今の高齢者の退職生活は多彩で素晴らしい。

「わが国の養老保険制度が改善されるにつれ、高齢者の基本的な物質的な生活が保障され、より多くの精神的な文化ニーズが高まった」。中国老齢科学研究センターの老齢社会・文化研究所の李晶(Li Jing)所長によると、中国は高齢化社会に入る時間は長くない。現在の高齢者の半分以上は60~69歳の間の「低年齢老人」だ。彼らの収入レベルは比較的高く、ある程度の老後のための備えもあり、お金も暇もある「新高齢者」と称される。「新高齢者」はより開拓的な文化活動に参加し、より高い質の文化製品を購入し、より自分に合った文化サービスを享受したがっている。同時に、彼らの多くの人はパソコンとスマートフォンを使えるようになり、知識をお金で買い、ネットショッピング、ネットコミュニケーションなどの新しい理念も受容できる。将来にはシルバー産業の「若年化」の傾向がますます顕著になるだろう。

 2020年3月の新型コロナウイルス感染症対策が厳しい頃、中国老年大学協会は全国の老年大学を対象に、オンライン学習のプラットフォームを無料で公開した。「オンライン老年大学」プログラムとアプリケーションは投入以来、学生たちの人気を博している。2か月以内の総ユーザー数はすでに100万を超え、一人当たり21分間利用されている。その中で、上位のオンライン授業―「声楽教程」「服の組み合わせ」「漢方医学基礎」「電子ピアノ」「ひょうたん笛」など、いずれも200万回のページビューを超えた。湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に住む61歳の女性は、老年大学のプログラムを通して160以上のオンライン授業を受けた。

「私の周りの60代の友達は、他のところで節約してでも、旅行や読書などの文化的消費にお金をとっておきたい」と、復旦大学(Fudan University)社会学部の于海(Yu Hai)教授は言う。彼によると、「高齢者の素敵な生活に対する憧れは若者に負けていない。彼らは投資を惜しまず、喜んでやっている。基本的な扶養・ケア・保障を希望しながら、老後の楽しみも期待している」という。

 現在のシルバー産業はまだ模索期にあり、市場の育成と監督管理の強化などの問題に直面しているが、政府と社会の高齢者人口に対する注目がますます高くなり、将来のシルバー産業の発展潜在力は非常に大きい。(c)People’s Daily/AFPBB News