【2月11日 AFP】(更新)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)の森喜朗(Yoshiro Mori)会長(83)が、国内外で怒りを招いている女性差別発言をめぐり辞任する方向になったと、複数メディアが11日に報じた。

 国内の複数メディアは匿名の情報筋の話として、森会長が関係者に辞任の意向を示し、12日の会合で表明すると伝えたと報じている。森会長は前週、女性は簡潔に話すことができないなどと発言し、辞任を求める声が高まっていた。

 森会長の後任の有力候補としては、長年スポーツ界に携わってきた川淵三郎(Saburo Kawabuchi)氏(84)の名が挙がっていると報じられている。元サッカー選手の川淵氏は、1990年代に国内におけるサッカーの普及に大きく寄与した。現在五輪関係では、選手村の村長という象徴的な役割を担っている。

 NHKなど複数のメディアによれば、森会長は11日、会長就任を打診するため川淵氏と面会。川淵氏は、森会長からの要請を受諾する意向を示したとされる。

 AFPは大会組織委員会に対し、森会長の辞意報道に関してコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。同委は12日、評議員や理事らを招いて臨時会合を開く予定。

 国際オリンピック委員会(IOC)は当初、森会長の謝罪によってこの問題は終了したとの立場を示していたが、批判の強まりを受け、同氏の発言を「完全に不適切」と指摘する声明を出した。

 森会長に対する行動を求めるオンライン署名活動には、14万6000人以上が参加。また女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)選手は森会長の発言について「無知な発言だった」との考えを示した。

 大会組織委によれば、森会長の発言後に400人近い大会ボランティアが辞退。ただし、辞退理由はさまざまだとしている。

 大会スポンサーのトヨタ自動車(Toyota Motor)は10日、「今回の大会組織委員会のリーダーのご発言は、私たちトヨタが大切にしてきた価値観とは異なっており、誠に遺憾」だとする、豊田章男(Akio Toyoda)社長のコメントを発表した。

 同日には、東京都の小池百合子(Yuriko Koike)知事も、今月開催予定だったIOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長も含めた4者会議への欠席の意向を表明し、波紋はさらに広がった。

 世論調査では約80%が東京五輪のさらなる延期、もしくは中止を支持しており、主催側は今夏の大会開催をめぐり、すでに国民からの反発にさらされている。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA