【2月11日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)は10日、各チームに対して、試合前に米国歌を流すように命じた。この前日には、ダラス・マーベリックス(Dallas Mavericks)のマーク・キューバン(Mark Cuban)オーナーが、自身のチームに国歌演奏の廃止を指示したことを明らかにしていた。

 キューバン氏は米スポーツ専門チャンネルESPNに対し、リーグのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーに相談した上で、今季のホームゲームでは試合前に国歌を流さないように指示したと明かし、慣習を再開する予定はないと語っていた。

 そのニュースが伝えられたわずか数時間後、NBAはマーベリックスの動きを取り消すコメントを発表。スポークスマンを務めるマイク・バス(Mike Bass)氏が、「現在NBAはチームと協力してファンをアリーナに再び迎え入れようとしているところであり、全球団は長年にわたるリーグの方針を継続し、国歌を流すことになる」と述べた。

 マーベリックスは今季開幕からのホームゲーム11試合で国歌演奏を行っていなかったが、キューバン氏もリーグの指示に従うと話し、国歌を流すことに問題はないと明かしている。

 キューバン氏は「国歌やこの国に対する人々の情熱には敬意を払っており、これまでも常にそうしてきた」と強調したが、その一方で国歌の演奏に反対する人もいるとし、「彼らの声を尊重し、耳を傾ける必要があると感じている。なぜなら、これまで彼らはそうされていなかったのだから」と説明している。

 NBAでは試合前の国歌演奏中、選手は起立しなければならない決まりがあるが、昨年に人種差別抗議運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」が巻き起こって以降は強制ではなくなり、選手たちは社会的不正に抗議する手段として国歌演奏中に膝をついている。(c)AFP