【2月10日 AFP】中国で世界保健機関(WHO)の調査団が実施した新型コロナウイルス調査について、米国がその透明性を疑問視したことを受けて、調査員の一人が10日、同ウイルスの起源に関する米国の情報は信頼できないとの考えを示した。

 9日に終了したWHOによる調査では、新型ウイルスの発生源の究明には至らなかった。

 期間中、調査員らのツイッター(Twitter)の個人アカウントから情報の断片が発信されていたが、帰国準備が進む中で、さらなる詳細や意見が公表された。

 調査員の一人、ピーター・ダザック(Peter Daszak)氏はツイッターに「米国の情報は過信しないでほしい。(ドナルド・)トランプ(Donald Trump)前政権下で次第にずれるようになり、多くの面ではっきり言って間違っている」と投稿。

 このツイートには、WHOと中国の合同調査の透明性を疑問視する米国務省のコメントを引用した記事へのリンクがはられていた。

 また同氏は、調査団は「考えられる限り、政治的に最も張り詰めた環境下で、全力を尽くして」任務に当たったと振り返った。

 ダザック氏は米国を拠点とするNPO「エコヘルス・アライアンス(Ecohealth Alliance)」の代表。同NPOは武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)と連携し、10年以上にわたってコロナウイルス研究に当たってきた。

 ダザック氏は新型ウイルスの自然起源説を提唱し、武漢の研究所からウイルスが流出した可能性については政治的動機に基づいた「陰謀論」だと一蹴している。

 中国政府は10日、武漢での調査は新型ウイルスの起源調査の「一部」でしかないと強調。外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は、「米国が中国のように、開放的で透明性のある態度を取り、米国内での調査研究に向けてWHOの専門家らを招致するよう望む」と述べた。(c)AFP/Laurie CHEN