【2月10日 AFP】タイで働くミャンマー人は、祖国を揺るがす国軍によるクーデターに抗議するため立ち上がった。集会を主催し、賛同者を集め、軍に拘束された敬愛するアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏のポスターを配っている。

 タイ経済は、主に隣国ミャンマー出身の数百万人の低賃金労働者に支えられているが、その身分は不安定だ。差別が横行していることに加え、不法労働者の取り締まりを頻繁に行うことからタイ当局のことは信用しておらず、普段はコミュニティー外との接触を避けている。

 だが、スー・チー氏を拘束した軍事クーデターは、普段はおとなしいミャンマー人コミュニティーに衝撃を与えた。今では、ほぼ連日、バンコク各地で抗議活動を行っている。

 バンコクから南に1時間ほど離れたサムットプラカーン(Samut Prakan)県に住むミャンマー人労働者チョー・トゥ・ヤ(Kyaw Thu Ya)さんは、こう話す。「外国に暮らす私たちも黙っていられない。みんなで、ミャンマー大使館前で正義を要求し、抗議しなければならない」

「祖国に住んでいないため、自分の限界は分かっており、歯がゆい」

 屋台で働くミャンマー人女性(48)は、大勢のミャンマー人がより良い生活と仕事を求めてタイに来ているという事実は、軍事政権が国の経済を急速に悪化させたということをみんなで告発しているようなものだと話す。さらに「ミャンマーに一度も発展のチャンスがなかったのは、すべて軍が干渉したせいだ」と批判した。

 週末に国連(UN)機関の建物前で行われた抗議デモでミャンマー人労働者は、古い革命歌を歌った。この歌は、1988年に起きた民主化要求デモの最中に歌われ人気となった。だが、このデモは最終的に参加者数千人が軍によって射殺されたるという悲惨な結果に終わった。

 チョー・トゥ・ヤさんは、「(スー・チー氏率いる)国民民主連盟(NLD)が選挙で勝ったとき、私はミャンマーに戻って事業を起こすことができるかもしれないと期待した」と話した。

「しかしクーデターがすべてを台無しにした。もはや私たちにミャンマーでの安全な未来はない」 (c)AFP/Pitcha DANGPRASITH