【2月11日 AFP】背景の花々やティーポット、星条旗からも十分に伝わってきた。米国のファーストレディーとして、ジル・バイデン(Jill Biden)氏(69)は、メラニア・トランプ(Melania Trump)氏(50)とは違う。

 前大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の妻で元モデルのメラニア氏が華やかに、時によそよそしく振る舞っていた一方、3日にビデオ会議サービス「ズーム(Zoom)」を通じた米軍兵士の配偶者らとの「バーチャル茶話会」に参加したジョー・バイデン(Joe Biden)新大統領の妻ジル氏は、気取らず伝統的な「フロータス(FLOTUS、米ファーストレディー)」のイメージそのものだった。

「就任からまだ2週間だなんて、信じられません。すでに行うことがたくさんありましたから」と語った。

 メラニア氏との違いは、夫同士の違い同様明らかだ。ジル氏はバーチャル茶話会では、米国の軍人・中流階級で育った経験をもとに、参加者と気持ちを通わせていた。

 ジル氏は、退役軍人だった父親に付き添い、戦没者記念碑を訪れるのが恒例だったと話し、こう続けた。「父からこの国を愛することを学びました」

 米国立がん研究所(National Cancer Institute)を支援するイベントでは、自分の両親や義理の息子ボー(Beau Biden)氏の命を奪ったがんについて話をしている。ボー氏は46歳だった。

■「どうでもいい?」

 メラニア氏は、若いモデルとして東欧スロベニアからアメリカに移住、トランプ氏と出会った。しかし、プライバシーを重視する彼女は、劇的だったであろう自身のアメリカン・ストーリーを語らなかった。

 公の場で長くしゃべることはまれ、原稿なしではなおさらだった。これは演説経験豊富なジル氏との違いだ。

 代わりに、メラニア氏はそのぜいたくな衣装でとかく注目を集めていた。

 1月にホワイトハウス(White House)を去る際は、シャネル(Chanel)、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)、クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)の黒ずくめの装いだった。フロリダに到着するまでに数千ドル(数十万円)する色鮮やかなグッチ(Gucci)に着替えたが、海外ブランドへのこだわりを見せ続けた。

 一方、米ノーザンバージニア・コミュニティーカレッジ(Northern Virginia Community College)で英語の教師を続けるジル氏がバーチャル茶話会で身に着けていたのは、実用的な暗い色味のジャケット。1月20日の夫の就任式には有名デザイナーの衣装をまとったものの、欧州ブランドではなく、ニューヨーク発のマルカリアン(Markarian)だった。

 たびたびファッションで自己主張するメラニア氏だったが、アフリカ・ケニアへの旅では、植民地時代によく着用された「ピスヘルメット」をかぶっていた。

 しかし、2018年に「I REALLY DON’T CARE, DO U?(私はどうでもいい。あなたは?)」と書かれたジャケットで人前に現れた時は、完全に異様とは言わないまでも、かつてないほど異例だった。

 一方、ジル氏は「いや、どうでもよくない」と告げているかのようだ。